研究課題
親世代の贈与を通じた住宅取得支援は子世代のマイホーム取得の夢の実現に向けて大きな役割を果たすと考えられる.それでは,政府からの住宅取得支援が期待できる場合においても,親世代は子世代に対して追加的な資金を提供するだろうか.そこで本研究は,政府の住宅取得支援策である住宅ローンの税控除と贈与税緩和をケーススタディとして,これらのインセンティブが親世代の贈与行動にどのような影響を及ぼすかを実証的に検証した.検証に用いたデータは2000年代に都市圏に一戸建て住宅を購入した家計の個票データ(約24,000家計)である.分析の結果,住宅ローンの税控除は贈与を受け取る子世代の家計数を減少させるだけでなく,子世代が受け取る贈与額も減少させる傾向が示された.特に,控除額の100万円増加は,贈与額を95万7千円減少させる結果を得た.このことは,住宅ローンの税控除は親の贈与を押しのける効果を持ち合わせると言えよう.一方,贈与税率の1%の緩和は,子世代が親世代から受け取る贈与額を16.7万円増加させる傾向が示された.このことは,贈与税率の低下は親世代から受け取った税引き後の贈与額を増やすだけでなく,親世代から受け取る税引き前の贈与額も増やすことを意味する.
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住宅・金融フォーラム
巻: 第13号 ページ: 9-22
Working Paper, Faculty of Economics, University of Toyama
巻: No. 280 ページ: 1-23