研究概要 |
本研究の目的は、「割引かない無限期間動的計画問題の最適解の構築」(Cai and Nitta 2009, 2010)の理論を、地球環境資源の最適利用問題に応用し、環境保全義務を達成できる経済政策を提示すること、およびゲーム論の分析手法を応用し、その達成を可能とする国際的協調枠組みのあるべき姿を提示することである。 平成25年度において、前年度に引き続き、最新の文献を検討するとともに、研究の精度を向上させつつ、以下の研究を進めた。得られた成果は、論文にまとめ、国内外の学会・研究会で報告するとともに、環境経済や理論経済の国際学術雑誌に投稿した。 1. “No waste”という仮定を導入し、「割引かない無限期間動的計画問題の最適解を構築するアプローチ」を改良するとともに、最適性の必要十分条件を明らかにした。その成果を論文 “The “no waste” assumption and transversality conditions for discrete-time infinite-horizon problems (with NITTA T.)”にまとめた。 2. Okumura and Cai (2007, 2010)等の開放経済における環境資源の最適利用に関する研究成果のベースに、Hartwick’s Ruleを内生的に導出し、その経済含意を明らかにした。その成果を論文“Optimal constant utility and an endogenously derived Hartwick’s rule: A control parameter approach (with OKUMURA R.) ”にまとめた。 3. バーゲンニング・ゲーム等の交渉ゲームを適用しながら、地球環境問題の解決に必要とされる国際的取り組みついて検討した。2国モデルを想定した、「開放経済における地球環境資源の利用における国際的協調枠組みのあり方」を取り扱う理論モデルを構築し、政策枠組みの内生的決定プロセスを解明した。その成果を論文“North-South negotiations on emission reductions: A bargaining approach (with LI J.) ”にまとめた。
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