本研究では、女性の出産前後における労働条件、及び、仕事内容の変化を分析した。さらに、男性と女性では労働条件に対する選好が異なることを考慮した均衡サーチモデルを構築し、そのモデルに基づいて、労働時間、及び、勤続形態の違いによってもたらされる企業の生産性、及び、労働者の人的資本形成への影響を分析した。 平成26年度は、母親の就業状況、及び、父親の働き方が、家庭生活、とくに育児や家事分担へもたらす影響を分析した。「National Longitudinal Survey of Youth; (NLSY)」と、「くらしと仕事に関する調査(Longitudinal Survey on Employment and Fertility; (LOSEF)」に基づいて、父親がフレックスタイム制のような柔軟な働き方をすることが育児や家事分担に与える変化について分析した。このような、母親だけでなく、父親の働き方をも関連させた分析結果は、海外の既存研究と比較しても新しい知見である。これに基づいて、女性の就業促進、具体的には、①非労働力から労働力への移動の促進、②既に働いている母親の場合はさらに労働時間を増やせるようにすること、などの政策を推進するためには、パートナーである男性の働き方を変えることが、どの程度影響があり効果的な政策であるかを検証した。 これらの研究成果については、コンファレンスで発表し一般メディアでも掲載されている。さらに学術論文の形にまとめて学術雑誌に投稿しており、既に採択されている雑誌もあるが、さらなる刊行を目指している。
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