研究助成事業の最終年度に当たる本年度は、主たる研究課題である民間高齢者施設について、その基礎資料の入手と分析用データセットの作成及び分析を行った。主な手順は、まずデータセットの基となる資料の入手と確認、記述統計による簡単な分析から始まり、次に統計モデルの構築とデータセットの作成、最後に分析結果の検証である。 基礎資料としては、民間調査会社提供資料(「高齢者住宅データ」)を用いた。当初の研究企画案では公的又は関係団体発行資料から外部業者の協力を借りる等して研究代表者主導でデータ入力を行う予定であったが、研究期間中(2011年)の民間高齢者施設の大幅な再編によりデータ入力が遅延を余儀なくされ時間的に厳しくなったことから当初の方法を見直し、民間調査会社が提供するデータ(入力済み)を用いることになった。データの入手方法は変更したものの、当該データを統計分析用に整形する等の作業は研究代表者が主体的に行った。 入手した資料及びデータから、民間高齢者施設の機能分化の動向を定量的に把握することができ、過年度までに本研究が明らかにしてきた点と概ね一致することが確認できた。また、作成したデータセットを用いた統計分析から、民間高齢者施設の料金とサービス内容の関連性を定量的に明らかにすることができた。最後に研究成果の発表について、今回は基礎資料の収集及びデータセットの作成が年度後半までずれ込んだ時間的制約もあり、年度内での学術雑誌等による発表には至らなかった。
|