本研究では、経済主体が選択行動をする上で、周りの意思決定にどのように影響を受けているのか、を計測し、政策に応用することを目指している。 特に病院の意思決定とその分析を通じたカルテルの形成過程に関して引き続き分析を行っている。事例として、ある地区の医師会による予防接種の価格カルテルを採用している。この事例は、医療サービス機関に競争政策が初めて適応された事例である。予防接種は、自由診療であり、標榜科目に関係なく各病院は自分で値段を付けることができる。標榜科目に左右されないことから近隣(地域)で価格競争が起こる可能性が高くなると考えられる。そのことから、価格競争を防ぐため、地区の医師会が、予防接種の価格カルテルを遂行していた。この事例を観察すると、医師会に所属している病院の中で、カルテルに参加した病院と参加しなかった病院が約半数の割合で存在している。 この事例の研究の目的は、カルテルに参加する要因、参加しない要因を明らかにし、カルテルの形成過程を分析することにある。特に、病院の属性や地域の属性だけでなく、近隣病院のカルテルの参加程度や対象地区にある標榜科目同士の病院の意思決定に影響を受けのか、同調的に行動するのか、社会的相互依存モデルを使用して明らかしたいと考えている。今年度は、各病院の商圏範囲を市場画定の方法に従って変更し、より合理的な結果を導くため、再度推定を行っている。その結果をまとめ、投稿準備に入っている。
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