本研究の目的は、家賃補助や公営住宅といった日本の住宅補助制度について、(1) 家賃補助が制度の対象となる民間賃貸住宅の家賃そのものの上昇につながっているのかを分析すること、(2) 公営住宅のクラウディング・アウト効果を定量的に計測することにあった。 (2) については、前年度までに分析および結果の公表と刊行を終えているため、平成25年度は、主に(1) について研究を進めた。 まず、前年度から引き続き、サーベイをおこなった。この過程で得られた知見を参考に、前年度執筆した論文について、研究の位置づけや意義を再度検討しながら、加筆・修正し、論文"The Effects of Housing Wealth on Fertility Decisions: Evidence from Japan"としてまとめた(現在、修正中。国際的学術誌に投稿予定)。 また、大阪市新婚世帯向け家賃補助制度の平成18年度の制度変更の影響を実証的に把握するために必要な2005年4月から2007年11月の紙媒体の家賃情報(月次)の電子化とデータベースを構築する作業を完了した。このデータベースを主軸に、上述の問題意識で分析を進めた。加えて、制度変更の長期的な影響と平成24年度の新規募集停止等の影響を把握するために、家賃情報の入手作業を引き続きおこなった。
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