研究課題/領域番号 |
23730258
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
坂田 裕輔 近畿大学, 経済学部, 教授 (50315389)
|
キーワード | 環境経済学 / 多面的価値 / 森林 / 森林環境税 / 直接支払制度 / 結合生産 |
研究概要 |
今年度は、森林関係者向けのアンケート調査を作成するために、林業従事者に対するヒアリング調査を実施した。 ドラフトとして作成したアンケート票に基づいて、ヒアリング調査を実施した結果、アンケート票を修正する必要性が出てきた。ヒアリング対象としたのは、従来型の林業を脱却して、新しい林業を作り上げようとする人々である。 本研究で明らかにしたいと考えていることは、木材生産に依存しない森林保全システムであるが、調査対象者の多くは、木材生産から森林保全業に転換することには抵抗が少なかった。その意味で、当初の仮説が大きく外れ、アンケート調査の軌道修正が必要となった。 近年の木材価格の低迷で、補助金頼みの林業に対する反省だけではなく、需要動向を見極めた、木材生産体制を作り上げなければならないという問題意識も共通していた。従来のアンケートは、これらの点を確認するだけにとどまっていた。 2013年度には、改めて、林業従事者が、今後の林業をどのような体制で維持していくのか、あるいは森林をどのような体制で管理しようとしているのかを明らかにできる方法を尋ねる方向でアンケート調査を実施したい。 また、国内制度を調査するなかで、国内の木材需要が増加することが前提になっていることが分かるが、国内での木材需要は今後も増加が見込めないと予想される。需要が低下する中で、どのようにすれば森林を維持していけるのかも合わせて考える必要のある課題であることが明らかになった。この点については、消費者に対して森林保全手法に対する貢献意欲をテーマとしたアンケートを実施することで明らかにしたいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
特に、アンケート調査が遅れている。当初想定していたアンケート調査が、ヒアリングの結果により、大幅な軌道修正が必要となったため、24年度にアンケート調査を実施することができなかった。 また、学内業務多忙のため、研究が十分に実施できなかった。この点については、25年度、機関内で異動したこともあり、十分な時間がとれると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度は、林業従事者と消費者の二者に対してアンケート調査を実施し、研究成果としてまとめる予定である。 林業従事者に関しては、熊本県、または九州内における林業事業体に対する調査を実施する。この点については、熊本県を中心とした協力を得ることができる見込みであるため、実施は可能である。アンケートの実施は9月を予定している。 消費者アンケートは、現在業者と相談のうえ、5月の実施を予定して、現在アンケート票の作成をすすめているところである。
|
次年度の研究費の使用計画 |
消費者アンケート(40万円程度)と林業事業体に対するアンケート(40万円)程度を予定している。 また、収集したアンケートの処理・資料整理で人件費または委託費を使用(30万円程度)することを予定している。その他、本研究の成果を学会において発表する予定(旅費10万円程度)があり、最終的には、当初想定した内容で、研究費を使用することができる予定である。
|