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2011 年度 実施状況報告書

報酬体系の行動経済学的理論研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730259
研究機関関西学院大学

研究代表者

大洞 公平  関西学院大学, 経済学部, 准教授 (70388354)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードチーム・インセンティブ / モラル・ハザード / 業績評価 / 契約理論 / 行動経済学
研究概要

期待に基づく参照点依存型選好をもつ複数のエージェントのモラルハザード問題を分析し,損失回避性向などが好ましい報酬体系にどのように影響を与えるか考察した.これまで,エージェントが一人のケースについての分析は存在したが,複数エージェントのケースの分析はなかった.また,社会的選好に基づく複数エージェントの分析は存在したが,期待に基づく参照点依存型選好を考慮した分析はなかった.分析の主な結果として,エージェントの損失による影響を緩和するため,業績の悪いエージェントにも業績の良いエージェントと同じだけ報酬を与える可能性があることを示した.これは,通常のインセンティブ問題を考えた場合は起こりえない結果である.ポイントは,業績の悪いエージェントにも報酬を与えることによって,そのエージェントが損失を回避できるというインセンティブに対する正の効果と,努力しなくなるというインセンティブに対する負の効果のトレード・オフにある.損失回避の影響がわずかでもある場合には,前者の効果が後者の効果を支配するケースが生まれる.また,エージェントが2人のケースだけでなく,N人のケースを分析し,一定数のエージェントの業績が高ければ,業績の低い人も同じだけの報酬を受け取るのが最適であることも示した.この結果は,かつての日本企業の報酬体系の特徴の一つとして指摘された均一的な報酬体系や,米国企業のCEOの報酬が一般的にイメージされているほど相対的業績評価に基づいていないことなどを説明する一つの根拠となりうると考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究結果の最初のバージョンは,ディスカッション・ペーパーとして公表した.また,それ以降も,研究会などで報告などを通して意見を集め,改訂を進めてきた.現在,学術誌への投稿に向け最終的な改訂をほぼ終えたところである.

今後の研究の推進方策

改訂が最終的に終了した段階で学術誌への投稿を行う.その結果次第であるが,いずれにせよレフリーからのコメントを受けて更なる改訂作業が必要になることが予定される.さらに,今回得た成果を活かし,期待に基づく参照点依存型選好を考慮した権限委譲の問題の分析など,これまでの研究を生かした新たな研究を進めたいと考えている.

次年度の研究費の使用計画

当初予定してたコンピュータソフト(mathematica)の購入をなどを見送ったことにより繰越金が発生した.共著者との打ち合わせのためにUniversity of California, Berkeleyへの出張の旅費が必要になる.また,研究成果を広めるためにも,海外の学会への出張も行いたい.具体的には,American Economic Associationのannual meetingへの参加などを検討している.

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公開日: 2013-07-10  

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