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2011 年度 実施状況報告書

拡大生産者責任と企業モニタリング問題の産業組織論的分析

研究課題

研究課題/領域番号 23730260
研究機関関西学院大学

研究代表者

猪野 弘明  関西学院大学, 経済学部, 准教授 (30546776)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード循環型社会
研究概要

本研究の目的は,廃棄・リサイクル問題において,消費後の財の廃棄費用を内部化するための有効な手立てと目されている拡大生産者責任に基づく政策アプローチについて,この政策アプローチが必要となるそもそもの理由,不法投棄の監視(モニタリング)の問題に立ち返り,特に同アプローチが企業の監視問題を考慮しつつ廃棄費用の内部化を図るために有効であることを,理論モデル分析によって明らかにし,拡大生産者責任に経済学的な裏付けを与えることである. 1年目である本年度は,第一に研究目的の基礎理論となる論文「Optimal Environmental Policy for Waste Disposal and Recycling When Firms Are Not Compliant」の改訂作業を行い,9月に国際査読誌に掲載されるに至った.この論文では,この分野でよく用いられる部分均衡の循環型社会のモデルを改良し,消費者段階と企業段階での不法投棄の監視問題を同時に扱えるようにしたモデルの定式化を提唱している.このため,研究目的に沿ったモデル分析の基盤を与えてくれる. 次いで,研究計画に沿って上記論文のモデルを活用しつつ,さらに産業組織論の分析手法を導入することを試み,試作段階のモデル構築を完了した.産業組織論は製品差別化のある寡占モデルを企業分析に大いに利用している分野であり,これにより,監視問題と市場構造を関連付け,財や市場の特性と拡大生産者責任の関係を扱えるようになる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り,基礎理論となる論文を国際査読誌に掲載し,これに連なる研究の意義を国際的に認知させることができた.また,計画通りモデルの構築を進め試作モデルが出来上がり,今後より扱い易くかつ精緻なモデルに改良していくことができる.

今後の研究の推進方策

構築した試作モデルの均衡や最適政策を解析的に求める作業をすすめ,モデルの仮定の厳密化,不要な変数領域の見極め,また,扱い易くかつ精緻なモデルに改良していく.同時に,最適政策の性質や変数領域による場合分けを精査し,拡大生産者責任による政策アプローチが,どのような市場構造において有効な手段となるのかを示し,主要命題を導き出す.

次年度の研究費の使用計画

2年目は,現在あるパソコン関係のインフラの一部がすでに陳腐化してきており,これらを整えるための設備費・消耗品費が必要である.また,計算結果に対して経済学を専門に学んだ者に校閲を頼むため,謝金が必要になる.さらに,多くの研究者からコメントを得るため各種研究会での報告を行うため,旅費が必要となる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Optimal Environment Policy for Waste Disposal and Recycling when Firms are not Compliant2011

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Ino
    • 雑誌名

      Journal of Environmental Economics and Management

      巻: 62(2) ページ: 290-308

    • DOI

      10.1016/j.jeem.2011.03.007

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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