研究課題/領域番号 |
23730261
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
斉藤 都美 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (00376964)
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キーワード | 情報の非対称性 / 保険 / 逆選択 / モラルハザード |
研究概要 |
平成24年度は、昨年度に引き続き、自動車保険と年金について、保険市場における情報の非対称性による厚生損失を評価する研究を進めた。情報の非対称性は「市場の失敗」の要因の一つとされ、その典型的な例として保険市場が挙げられてきた。しかしこの研究分野は実証研究は立ち遅れ、理論研究の現実的な含意が十分にデータで確認されていないという研究の現状がある。そこで本研究課題では、自動車保険市場と年金市場を例にとり、情報の非対称性がどの程度の市場の非効率性を生み出しているかについて分析を進めている。 研究の意義は、理論と現実のかい離を埋めるという学問的な意義のみならず、最終的には政策的インプリケーションを導き出すことにある。たとえば、自動車保険市場でも年金でも、強制加入が義務付けられているが、強制加入の理論的根拠は「逆選択」であるとされている。つまり、高リスクの人々ばかりが保険(年金)に加入し、低リスクの人々が加入できなくなるという状況を改善するため、全員を加入させる強制保険化が全体の利益になると考えられている。ところが自動車保険でも年金でも、そもそも逆選択が存在しているかどうかについての分析は存在せず、したがって強制保険が本当に望ましいかどうかについても、実証的な根拠はいまのところ存在しない。本研究課題は、こうした理論的根拠を欠いた現実の政策が本当に望ましいものかどうかについてデータに基づき検討するとともに、望ましい制度設計のあり方につなげていくことが目標である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
おもに2つの理由がある。 1つは、所属研究機関が変わっての初年度だったことから、研究を軌道に乗せるまでに時間がかかってしまったことがある。 もう1つは、同時並行的に進めていた研究テーマがスムーズに進んだため、そのテーマを仕上げることに時間を使ったことである。 以上の2点から、達成度は「やや遅れている」となった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるため、本研究課題の成果を論文の形にまとめ、英文の雑誌に投稿、受理されることを目指す。国際的にも多くの論文が出されている分野のため、国際的な研究の進展を意識しつつ、自らの研究の貢献を提示することを心がける。
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次年度の研究費の使用計画 |
おもに2点において研究費を使用する予定である。 1つ目は学会報告のための旅費、2つ目は論文の英文校正である。
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