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2012 年度 実施状況報告書

外部性が存在する下での環境政策が経済活動の立地や厚生に与える効果

研究課題

研究課題/領域番号 23730262
研究機関九州産業大学

研究代表者

広瀬 恭子  九州産業大学, 経済学部, 准教授 (30435094)

キーワード国際貿易 / 輸送費用 / 経済活動の立地 / 経済厚生
研究概要

国際間の課税競争と企業立地の関係性に関する理論モデルの構築を行った.この研究の特徴は,課税競争を行っているふたつの国と市場を持つ第三国との間の距離が異なることを仮定している点である.本研究では,企業は,課税の程度(政策の厳しさ)と第三国の需要の大きさを比べて立地を決定していることが明らかになった.具体的には,企業は,基本的に,第三国市場との競争を避けるため,第三国から遠い国へ立地することが分かった.しかし,課税競争を行える状況にある場合,第三国から近い国の政府は企業を誘致する手段を獲得でき,競争がない状態よりも企業を自国に立地させやすくなることが示された.課税競争をしている国々が協定を結び,課税競争を避けるために同じ税率を課すような場合,必ずしも厚生が高くなるとは限らないことが明らかになった.
本研究では,第三国市場からの需要や第三国市場からの距離を理論モデルに導入した.これらの点を企業立地モデルに導入することは重要である.なぜなら,企業は,立地の候補地の経済環境だけではなく,候補地の周辺の市場の経済環境を考慮した上で立地を決定しているはずだからである.また,課税競争により起こることが示されているrace to the bottomを避けるために,企業へ課す税率を統一させるような政策が提案されるケースがあるが,それが必ずしも経済厚生の上昇を導かない可能性があること,また,国際間の対立を生み出す可能性があることが明らかになった.
課税の程度を政策の厳しさの程度と解釈すれば,本研究では,政府の政策の程度が企業の立地にどのような影響を与えているか,という点を明らかにする理論モデルを構築できたと言える.また,政策の厳しさの程度を同じにするようなハーモナイゼーションが望ましい結果を導くかどうか,という点についても分析可能であると考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

政策の強さと企業の立地に関する理論モデルの構築はできたが,その理論モデルの完成に時間がかかってしまった.環境についてのサーベイを進めているが,理論モデルに環境や外部性に関する変数を導入することまでには進められなかった.

今後の研究の推進方策

これまでの研究で構築した理論モデルは,完成に時間がかかったが,予想していたよりもシンプルなモデルとなったため,新しい変数を導入し,拡張可能であると推測できる.今後は,構築した理論モデルに環境(外部性)や技術を表す変数等を導入し,外部性,企業立地と政策の関係を明らかにする予定である.

次年度の研究費の使用計画

分析の完了に時間がかかったことと国際学会での報告の応募が却下されたことの2点から,予定した国際学会での報告ができなかった.そのため,次年度使用額が発生した.
次年度は,研究室で使用するデスクトップ・コピューターを購入する予定がある.国際学会での報告のために旅費を支出する予定である.2回の国際学会での報告を予定している.また,完成された研究を国際学術雑誌へ投稿する予定である.そのための英語校正費を支出する予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] Discussion paper series No.59

    • URL

      http://www.ip.kyusan-u.ac.jp/keizai-kiyo/dp59.pdf

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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