研究課題/領域番号 |
23730264
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
佐野 洋史 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (50502316)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 医師 / 選好 / コンジョイント分析 / 勤務条件 / 支払意思額 |
研究概要 |
本研究の目的は、表明選好法のコンジョイント分析を用いて医師の就業行動を的確に説明できる統計モデルを開発し、医師が最も重視する勤務条件を把握することにより、医師の診療科偏在・地域偏在の具体的な解消策を明らかにすることである。本年度は、コンジョイント分析に用いる仮想医療機関の勤務条件を選定するため、医師の診療科偏在・地域偏在の原因や対策事例等に関する文献調査を行った。また、医師や有識者に対してヒアリング調査を行い、医師の勤務実態や医師不足の診療科・地域の医師が求める勤務条件を把握した。次に、外科医、産婦人科医を対象とした診療科偏在に関するアンケート調査票と、内科医を対象とした地域偏在に関するアンケート調査票を作成した。調査票の内容は、各診療科の勤務実態や医師確保策に即した勤務条件を持つ複数の仮想医療機関から対象者が勤務先を選択する質問と、対象者の現在・過去の勤務先の状況や対象者の性・年齢、配偶者・子供の有無等の個人情報に関する質問等である。更に、医師の就業行動及びコンジョイント分析の手法に関する文献調査を行い、アンケートのデータを分析する統計モデルを開発した。統計モデルは、仮想医療機関の選択結果に回答者の現在・過去の勤務先の状況等の個人情報を加えて、医師の就業行動を的確に説明できるものを完成させた。本研究の意義は、コンジョイント分析により、各勤務条件に対する医師の選好を支払意思額・受取補償額といった金銭価値で表し、各条件の重要性を評価すること、また、勤務条件に対して多様な選好を持つ医師の就業行動をモデル化することである。本研究の重要性は、医師の診療科偏在及び地域偏在の具体的な解消策が明らかとなることである。コンジョイント分析では医師が最も重視する勤務条件を金銭価値で定量的に把握できるため、分析結果に基づいて数ある中から最も実施すべき医師確保策を提示できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年1月に所属研究機関を滋賀大学経済学部へと移したため、その前後1ヶ月間は研究環境の整備に時間を要した。その間、研究の進捗が若干遅れた。ただし、本年度の研究実施計画に掲げた研究内容は、ほぼ実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究で得られた知見に基づき、平成24年度には、医師の診療科偏在と地域偏在に関する2つのアンケート調査を実施し、データ解析を行う。いずれの解析結果についても、国内外の学会および学術雑誌にて成果発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度中に所属研究機関の変更があり、研究の進捗が若干遅れたため、本年度末に実施予定であった医師の診療科偏在に関するアンケート調査が実施できず、未使用の研究費が発生した。ただし、アンケート調査票は既に完成しているため、当該アンケートは次年度に速やかに実施し、研究費を使用する予定である。また、医師の地域偏在に関するアンケート調査票も作成済みであるため、予定通り平成24年度に速やかに実施し、研究費を使用する。
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