研究課題/領域番号 |
23730264
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
佐野 洋史 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (50502316)
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キーワード | 医師 / 選好 / コンジョイント分析 / 勤務条件 / 支払意思額 |
研究概要 |
本研究の目的は、表明選好法のコンジョイント分析を用いて医師の就業行動を的確に説明できる統計モデルを開発し、医師が最も重視する勤務条件を把握することにより、医師の診療科偏在・地域偏在の具体的な解消策を明らかにすることである。 本年度は、医師を対象として昨年度に作成した診療科偏在と地域偏在に関するアンケート調査票の修正を行った。当初予定していた調査対象のデータ収集が一部困難となり、修正が必要となったためである。調査票の内容は、各診療科の勤務実態や医師確保策に即した勤務条件を持つ複数の仮想医療機関から医師が勤務先を選択する質問と、医師の現在・過去の勤務先の状況や医師の性・年齢、配偶者・子供の有無等の個人情報に関する質問等である。次に、調査票の修正に伴い、アンケートの回答データを解析する統計モデルについても再検討を行った。統計モデルは、医師の仮想医療機関の選択結果に現在・過去の勤務先の状況等の個人情報を加えて、医師の就業行動を定量的に把握するものである。更に、修正したアンケート調査票を用いて、31人の医師にプレテストを行った。勤務先の選択質問等の内容が理解しやすいか、質問数が多くないかといった回答の容易さや、回答結果に偏りがないか等を確認し、調査票の更なる改善を図った。 本研究の重要性は、医師の診療科偏在及び地域偏在の具体的な解消策が明らかとなることである。コンジョイント分析では医師が最も重視する勤務条件を金銭価値で定量的に把握できるため、分析結果に基づいて数ある中から最も実施すべき医師確保策を提示できる。勤務条件に対する医師の金銭価値を的確に推定するためには、勤務先の選択質問等アンケート調査票の内容が重要となり、本年度はそのために必要な作業を実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年1月に所属研究機関が変わり、当初予定していた調査対象のデータ収集が一部困難となった。本年度は、それに伴い必要となるアンケート調査票の修正とデータ解析手法の再検討を行った。アンケートの実施に必要な時間が不足したため、本研究の補助事業期間の延長を申請し、承認を得た。アンケート調査は、平成25年度に実施する。アンケート調査の実施に当たり、必要となる作業は本年度でほぼ実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に修正した医師の診療科偏在と地域偏在に関するアンケート調査を実施し、データ解析を行う。解析結果は、国内外の学会および学術雑誌にて発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年1月に所属研究機関の変更があり、アンケート調査票やデータ解析手法の修正等、研究計画の変更に時間を要した。そのため、本年度中の実施予定であったアンケート調査が実施できず、未使用の研究費が発生した。アンケート調査は、平成25年度にインターネット調査を利用して速やかに実施し、研究費を使用する。
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