研究課題
1992年に採択された国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の第4条5項では、技術移転について「先進国は環境技術とノウハウの途上国に対する移転とアクセス向上のために全ての現実的な手順を取り、その際に途上国の内発的な能力・技術の開発・強化を支援する」と言及されている。この条項をもとに、途上国への気候変動対策技術の移転が先進国に対して要請されており、技術移転によって途上国の内発的な能力が向上することが期待されている。2020年以降の新枠組みにおいては今後更なる経済成長が見込まれる新興国及び途上国は何らかの形で削減目標(努力)及び削減報告義務が課される可能性が高く、それらの削減を達成するには先進国による技術移転並びに資金の支援が不可欠であろう。このような背景の下で、環境技術協力に関する協定が結ばれた場合、各国の参加インセンティブや全体的な削減量に与える影響を経済学的に分析することは重要である。本研究では国連気候変動枠組み条約における技術移転及び技術協力の在り方に焦点を当て、環境技術協力に関する協定を締結した場合の提携の安定性を定量分析することが目的である。2012年度は、環境関連技術の知的財産権を巡る議論及び日本企業の途上国における技術移転に関する研究成果の一部を研究論文に取りまとめた。また、国際協定の提携の安定性分析を実施している海外の研究機関(ルーヴァンカトリック大学、FEEM、PIK、ワーヘニンヘン大学)とモデル比較分析を実施し、研究論文に取りまとめた。また、技術移転と並んで重要な課題である資金供与について、各国の資金分担方法に関するサーベイや分析を行い、学会発表を行った。
3: やや遅れている
2012年度は、環境技術関連の知的財産権問題や環境技術移転の事例研究に関する論文を執筆し、資金供与問題に関する研究の学会発表を実施した。しかし、今年1月に出産、その後産後休暇及び育児休暇を取得しているため予定していた研究の進展が遅れている。尚、育児休暇は5ヶ月間取得予定である(9月に復帰予定である)。
環境技術協力に関する国際協定に関して、理論から導出される最適行動と現実の意思決定下で導出される最適行動との比較を実施する。
直接経費の細目について、機械装置(約550,000円)、図書購入費(約200,000円)、国内旅費(約150,000円)、海外旅費(約500,000円)、技術指導謝金(約100,000円)、英文校閲(約70,000円)の研究費の使用を予定している。
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Energy Policy
巻: 44 ページ: 118-129
10.1016/j.enpol.2012.01.024
Natural Resources Forum
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