研究課題/領域番号 |
23730268
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
原田 信行 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70375426)
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キーワード | 経済政策 / 日本経済 |
研究概要 |
本研究では激変する経済環境のもとでの経済と企業部門、とくに中小企業との関係について実証的に研究を進めた。世界金融危機をはじめとする経済的なショックに加えて災害の影響についても幅広く検討した。さらに、企業部門が直面している課題と考え得る対応策について関連諸政策の動向も踏まえながら分析を進めた。政策・制度と中小企業セクターの関わりについて、中小企業の知的財産活動に関する研究成果が公刊された。従来、当該分野の研究は個別の中小企業の事例、とりわけ成功事例の発掘と紹介に重点が置かれ全体としての位置づけやマクロ的な状況は捉えにくいものとなっていた。このようななかで、信頼性の高い複数の大規模な統計調査の結果から、可能な限り包括的に中小企業の知的財産活動の現状と課題を明らかにすることを試みた。模倣被害、および知的財産と資金調達の関係等を取り扱っている点にも特徴がある。総合的な検討の結果、知的財産基本法の成立から約10年が経過し、政策面でも重要な進展はみられるが、中小企業の知的財産活動には依然として制約が大きいことが示唆された。特許や意匠を出願あるいは所有する中小企業は一部に限られ、とくに特許は総じて大企業の出願件数が圧倒的に多くなっている。商標に関しては比較的活用しやすい面もあり、原理的にはこれらの権利を用いて規模が小さい企業であっても自社の事業を有利に進めることが期待されるが、外国での権利取得の重要性が増していることなども考えれば取得のための負担と得られる便益との秤量は一層困難になっているといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要な経済、企業情報の収集等は一定の速度で進捗している。公表可能な段階に達した成果もあり、全体としておおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き幅広く経済、企業に関するデータ、政策・制度および関連学術研究等の情報の更新を続け分析を進める。また研究補助者の雇用を新たに行う。関連分野の専門家との情報交換も進めるとともに、得られた成果の周知に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
経済、企業情報および関連資料類の入手、データ分析基盤の拡充、情報処理作業の効率化等のための研究補助者の雇用、情報収集・交換のための旅費等を予定している。今年度は主として研究補助者の雇用が間に合わず、次年度での支出を予定している。
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