2012年度は引続き計画通り、2012年度と2013年度の要素を組合せた研究を行い、2012年度中に研究論文を6本出版した。安全な貯蓄率についての国際的視点に係る論文で、退職後の貯蓄率に係る研究計画の内、2012年度分を果たしたといえる。ここでは19の先進国市場の貯蓄者を対象に、過去の重複する複数の期間について、最悪の事態想定下での退職所得目標の達成に必要な貯蓄率をシミュレーションした。基本的に労働者は30年掛けて貯蓄し、その後30年に渡る退職生活中のインフレ調整を含め退職前の総収入の50%を賄う。これに更に公的年金が加算され、最悪の事態下の貯蓄率は国によって16.3%から74.3%の間に分布している。 他の研究論文は2013年度の目標に向けて進めており、固定年金及び変動年金といった様々な収入ツールを使って退職所得に係る研究を行うため、より完成度の高い枠組みの導入を目指している。このプロジェクトは「Retirement Management Journal」に掲載された論文2本と、「Journal of Financial Planning」に掲載された退職所得のための効率的フロンティアに係る論文を成果に持ち、これらの論文では、各種の退職所得戦略から選択する上で必要な新たな評価の枠組みの初歩的段階を紹介し、調査では以下8つの退職所得戦略を対象にした。(1)一定インフレ調整型引出額、(2)残余財産の一定引出率、(3)残りの平均寿命に基づく引出率、(4)より積極的なハイブリッド引出率、(5)インフレ調整型及び(6)固定一時払い保険料即時年金、(7)脱退給付の追加条項付き保証型生活向け変動年金、(8)基本的ニーズを満たすための最低ラインを年金化し残余資産のハイブリッド引出率を利用する戦略。これら8つの戦略について、6種類の退職生活の効果指標を用い30年間の退職生活に渡って分析する。
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