本研究の目的は、どのような要因が不法投棄の増加を促すのかを経済学的に分析することである。特に、迷惑施設との認識から常態化しつつある廃棄物処理施設の容量不足が不法投棄を誘発しているというIchinose and Yamamoto (2011)の結論がどの程度頑健性を持つかを調べることを目指している。そこで地理的・風土的に類似の先進国との国際比較として、本研究では英国のデータを使用して空間計量経済学の方法論に基づいて実証分析を行った。その結果、迷惑施設としての認識から処理施設の建設に反対することは結果として、自地域への不法投棄という別の形での汚染をもたらすことになることが明らかになった。すなわち、NIMBY(Not in MY BackYard)的な行動をとることは必ずしも自身の利益にならないということであり、今後の政策的展開に資する結果であると考える。
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