研究課題/領域番号 |
23730279
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
関 耕平 島根大学, 法文学部, 准教授 (10403445)
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キーワード | 鉱山地域 / 環境再生 / 地域再生 / 地方財政 |
研究概要 |
本研究は、非鉄金属鉱山が立地していた地域(鉱山閉山地域)における地域問題を分析の焦点に据え、①全国の鉱山閉山地域を分類・類型化する基礎的な研究を通じ、②閉山前後から現在に至るまでの地域変遷を明らかにした上で、③地域再生および環境再生にむけた政策モデルを提示することを目的として展開された。 環境再生(Environmental Regeneration)とは、これまでの環境破壊の結果蓄積させてきた「環境被害ストック」を除去・修復しながら、人間の健康や自然を取り戻し、「環境的豊かさ」を取り戻す取組をいう。これまでの地域再生政策研究は、大都市臨海部をはじめとした公害被害地域や都市再生、農村地域や、自然再生といった領域を対象にしており、この視点からの分析や提言が最も求められている鉱山閉山地域について、取組まれていない。 従来の鉱山地域研究は、鉱山操業時に限られており、鉱山地域に関する研究は、在野の郷土史家などを含めると、膨大な研究蓄積があるが、閉山後、1970年代半ば以降の鉱山閉山地域の変遷についての研究蓄積、体系的な分析や比較研究といった視点をもった分析はほとんどみられない。その意味で、本研究は研究対象とする「時期」の新規性を有する。また、炭鉱地域における同視点による研究は存在しているものの、非鉄金属鉱山においても行われる必要がある(本研究の研究対象とする「素材」の新規性)。 本研究では、第一に、複数の鉱山地域の現地調査により、資料収集や聞き書き作業を実施し、閉山後の地域変遷を明らかにするための基礎作業を実施した。 第二に、高知県大川村・白滝鉱山について特に詳細な分析をすることが可能になり、この事例研究から、地域再生に向けた理念の明確性、鉱山会社による協力の重要性、都道府県や中央政府といった上位行政機関による体系的な政策支援機能の重要性、という要素を析出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、第一に、複数の鉱山地域の現地調査を実施することができた。 第二に、こうした現地調査によって資料収集や聞き書き作業を実施し、閉山後の地域変遷を明らかにするための基礎作業を実施できた。 第三に、高知県大川村・白滝鉱山について特に詳細な分析をすることが可能となり、論考にまとめることができた。 第四に、この事例研究から、地域再生に向けた理念の明確性、鉱山会社による協力の重要性、都道府県や中央政府といった上位行政機関による体系的な政策支援機能の重要性、という要素を析出することができた。 これらを踏まえ、資料は入手済であるが、いまだに成果としてまとめるに至っていない事例地域において研究をすすめるとともに、鉱山地域再生に向けた政策体系の主要な項目を見出しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、資料入手済であるが研究成果をまとめていない地域についての分析を進め、研究をまとめる。 第二に、それら事例研究の積み重ねをもとに比較研究を実施し、鉱山閉山地域における地域再生政策体系の析出を試みる。 第三に、これら鉱山閉山地域の分析から、地域再生政策論や環境再生論への理論的な提起ができるよう、論点を析出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年度末に、高知県大川村についての追加調査及び、政策当事者との意見交換や今後の地域政策の展開についての情報交換を実施する予定であったが、研究代表者多忙のため、実現することができず、未使用額97,665円が生じた。そのため、2013年度に同目的に使用することとした。
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