• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

途上国における賃金形態と内生的制度変化:個票データの行動経済分析

研究課題

研究課題/領域番号 23730284
研究機関長崎県立大学

研究代表者

中村 和敏  長崎県立大学, 経済学部, 准教授 (40304084)

キーワードインドネシア / 効率賃金仮説 / 栄養 / 現物賃金
研究概要

途上国では、食事などの現物が賃金の一部として支給されるケースが数多く観察される。例えば、インドネシアでの現物賃金の利用率は、全国平均で31.7%となっている。こうした状況は、かつての先進国でも見られたが、現物賃金の重要性は経済発展と共に低下してきた。これらのことは、現物賃金が存在する背景として、経済発展の初期段階に特有の事情があることを示唆している。
こうした問題意識に基づき、本研究では、現物賃金という賃金形態が、経済発展の初期段階で慣習的な制度として定着し、その後消滅していくという制度的な変化を、労働市場の広域化と所得の上昇という経済発展に内在化された要因によって説明できることを理論的に示した。
また、この仮説を、インドネシアの事例に基づいて、理論と実証の両面から体系的に解き明かすことを試みた。理論的な面における成果としては、現物賃金が支給される場合は、現金のみで支給される場合よりも、総賃金水準(現金支給賃金と現物支給賃金の和)が高くなっているというファクト・ファインディングが、効率賃金仮説の栄養モデルにより、説明できることを明らかにしたことを挙げられる。また、実証面における成果としては、西ジャワ州スカブミ県チサアット郡において、ヒアリングとアンケート調査に基づくフィールドワークを複数回実施し、農家家計の属性、調査地の農業慣習、現物賃金の支給状況などについて明らかにしたことが挙げられる。
これらの理論分析と実証分析を通じて、効率賃金仮説の栄養モデルと現物賃金という途上国の農村に広く観察される賃金形態が密接な関係にあることを示すことができた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Intertemporal Decomposition Analysis of Inequality: The Case of Indonesia2013

    • 著者名/発表者名
      Nakamura, Kazutoshi and Susumu Hondai
    • 雑誌名

      IRSA Book Series

      巻: 11 ページ: 171-187

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Determinants of SMEs Growth: Evidence from Metal Processing Industry in West Java, Indonesia2013

    • 著者名/発表者名
      Nakamura, Kazutoshi
    • 雑誌名

      The 23rd Pacific Conference of the Regional Science Association International (PRSCO 2013) Conference Proceedings

      巻: 1 ページ: 27-27

    • 査読あり
  • [学会発表] Wage Modes and Productivity: A Quantile Regression Approach to Testing the Nutrition Model of the Efficiency Wage Theory2014

    • 著者名/発表者名
      Kazutoshi Nakamura
    • 学会等名
      12th Indonesian Regional Science Association (IRSA) Conference
    • 発表場所
      Hasanuddin University, Indonesia
    • 年月日
      20140602-20140603
  • [学会発表] Determinants of SMEs Growth: Evidence from Metal Processing Industry in West Java, Indonesia

    • 著者名/発表者名
      Kazutoshi Nakamura
    • 学会等名
      The 23rd Pacific Conference of the Region-al Science Association International
    • 発表場所
      Padjajaran University, Indonesia
  • [図書] Lewisian Turning Point in the Chinese Economy2014

    • 著者名/発表者名
      Minami, Ryoshin, Chang Nam Kim, Susumu Hondai, Kazutoshi Nakamura, Xinxin Ma, Fang Cai, Meiyan Wang, Yue Qu, Makoto Takada, Xu Li, Jin Du, Hiromi Ishizuka, Shanping Yan, Jinjun Xue, Wenshu Gao, Kwan S. Kim and Fumio Makino
    • 総ページ数
      214(58-75)
    • 出版者
      Palgrave Macmillan
  • [図書] 『中国経済の転換点』2013

    • 著者名/発表者名
      南亮進・牧野文夫・かく仁平・金昌男・本台進・中村和敏・馬きんきん・蔡ほう・王美艶・曲げつ・高田誠・李旭・ほうけん久俊・蘇群・せつ進軍・高文書・厳善平・杜進・石塚浩美
    • 総ページ数
      240(46-63)
    • 出版者
      東洋経済新報社

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi