研究課題/領域番号 |
23730295
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
水島 淳恵 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (80536334)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 異世代間移転 / 経済成長 / 公共財の自発的供給 |
研究概要 |
補助対象研究の初年度に当たる本年度は、異世代間移転・経済成長の基礎となる理論を幅広く構築・整理すること、既存研究の調査、および内外の研究者との情報交換を中心に研究を行った。 まず、家計内公共財の自発的供給の研究をおこない、暫定的結果をNon-cooperative versus Coperative Familyにまとめた。この研究の特筆すべき点は、家計内公共財供給における家計内の代替性ではなく、ミクロレベルデータによって観察されるレジャーの家計内補完性を解析的に明らかにした点であり、家計内公共財供給は非効率的であるときの政策分析もあわせて実施した点である。次に、Human Infrastructureが経済発展に与える影響についての研究をおこない、暫定的結果をHuman Infrastructure, Child Labor, and Growthにまとめた。この研究では、経済の初期条件が同じにもかかわらず、経済が発展していく国と停滞している国のメカニズムを解析的に明らかにし、その過程における児童労働の動学についても明らかにした。研究内容は、大阪大学、京都大学、名古屋学院大学、横浜国立大学での研究会で報告し、有益なフィードバックを得ることができた。9月には、ドイツ・フライブルグ大学でおこなわれた公共財の自発的供給と課税競争に関する研究会に出席し、公共財の自発的供給に関する有益なディスカッションを行うことができ、今後の研究方向に重要なアイデアを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
補助対象研究の目的は家計内で行われる私的移転および家計外で行われる公的移転をそれぞれの側面から解明し、人口構造変化が(1)異世代間移転を通じて所得再分配に与える影響および(2)経済成長・経済厚生に与える影響を明らかにし、人口構造変化のもとでの所得再分配政策を検討することである。初年度は、その目的の1つである私的移転の暫定的研究をまとめることができた。また、経済成長に関する予備的研究もあわせて実施することができた。よって、研究計画に関してはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、人口構造変化を示す指標を取り入れ、まず、人口構造変化が家計内公共財供給に与える影響を解析モデルを用いて静学的に明らかにする。その後、基本モデルを動学的視野を取り入れて発展させてゆく。モデル拡張のアイデアとしては、人口構造変化が家計内移転に与える影響を明らかにするために、親から子供への家計内レントの総額を期待寿命に依存させ、モデルを展開してゆく。初年度は研究目的である公的移転については考察できていなかったので、次年度以降は公的移転の整理・既存研究の調査もあわせて行ってゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究費の使用計画は下記を予定している。*国際学会参加および研究打合せの為の出張費 53万円 *国際学会参加費 4万円*出張およびプレゼンテーション用モバイルパソコン 10万円 *データ・文書パックアップ用ハードディスク 4万円*英語論文の英文校正費 9万円
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