平成25年度は、研究計画に基づき、以下の点について研究活動を行った。 (1)平成25年度までの研究で解明した成果に基づいて、ナイト流不確実性回避性、リスク回避性、異時点間の消費の平準化、ナイト流不確実性の現出するタイミングに対する人々の選好が意思決定にどのような影響を与えるかについて、その背景にある人々の行動原理に関する研究を進めた。 (2)論文の報告:執筆した論文に関して、論文の完成度を向上させるべく、他大学(大阪大学、青山学院大学)が主催する研究セミナーにおいて、研究成果を報告し、参加者と有意義な討論を行った。 (3)研究成果:平成25年度は、ナイト流不確実性が環境投資に与える影響について、ナイト流不確実性の導入の仕方によって効果が逆転する可能性があることを示した論文が、国際的学術誌に掲載された。また、最小作用素から構成される選好の表現関数についての論文を完成させた。この論文は、Rhodeの不平等回避の選好を含んだ関数であり、また、Ben-Porath and Gilboaのジニ係数に関する選好を表現できる関数であり、国際的学術誌に投稿、採択された。 (4)本研究の意義:本研究プロジェクトは、1980年代以降、研究が進展し、多くの知見をもたらした再帰的期待効用理論と、1990年代以降、研究が進展し、現在に至まで、多くの知見をもたらしているナイト流不確実性に関する基礎研究と応用研究である。 研究成果は、ファイナンス、マクロ経済学、環境経済学を始め、多くの分野において、新たな知見をもたらすと期待される。
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