研究課題/領域番号 |
23730302
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
江阪 太郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (60347515)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際金融 / 為替制度 / 経済パフォーマンス / 内生性問題 / ミクロ計量経済学 / マッチング法 / 資本自由化 |
研究概要 |
為替制度選択は、国際金融において最も重要なトピックの一つであり、過去十数年間研究されてきた。そしてこのトピックは、1990年代から2000年代はじめの一連の通貨危機により、学界、各国の政策当局者により、より議論されるようになってきた。そして最近のグローバル金融危機を契機に、国際経済の最も中心的かつ緊急的な検討課題になっている。 そこで本研究の目的は、様々なデータ、最新のミクロ計量経済学の手法を用いて、資本自由化(または資本規制)と為替制度選択の経済パフォーマンスへの影響を分析することである。またその時に、為替制度選択の内生性問題を明確に考慮して分析を行う。最終的な目標は、様々な為替制度の系統的な特徴を明らかにし、有益な政策的インプリケーションを提供することである。 本研究の研究期間を3年として、1年目は、データの整備と分析手法の研究開発を主に行った。また具体的な研究として、各国が公表した為替制度から実際に採用していた為替制度の乖離(一致)が通貨危機発生に影響を与えていたかを分析した。特に、Consistent pegs政策(公表したペッグ制を実際にも採用する政策)の通貨危機発生への影響について分析した。この分析において、為替制度選択におけるセルフセレクション・バイアスを除去するために、the bias-corrected matching estimatorsを用いて、Consistent pegs政策の通貨危機発生への平均トリートメント効果を推定した。分析結果によれば、Consistent pegs政策は他の為替政策に比べて、通貨危機発生確率を統計的に有意に低下させていた。なお、Propensity score matchingを用いた分析や様々な頑健性のテストを行ったが、この分析結果が変わらないことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の研究計画では、データの整備と分析手法の研究開発を行うことであった。その計画通りに概ね順調にデータの整備と分析手法の研究が行うことができた。その結果、研究実績の概要に示したように、為替制度選択におけるセルフセレクション問題を考慮した分析手法であるマッチング法を用いて、為替制度選択の通貨危機発生への影響について分析を行うことができた。 ただし、新しい具体的な研究を行うために、またより精緻な分析を行うためには次年度以降もデータの整備と分析手法の研究を行う必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の研究期間を3年として、1年目は、主に「データの整備と分析手法の研究開発」、2年目は、主に「実証分析と論文の作成」、3年目は、主に「実証分析の手直し、論文の作成・発表」を行う。 よって、2年目では、1年目に整備したデータを適切なモデル、分析手法を用いて、実証分析を行い、論文の作成を行う。なお、研究を円滑に行うためには、今後も適宜、データの整備と分析手法の研究開発は行う。 3年目では、2年間の研究を踏まえて、分析の手直し、または新たな研究を推進しつつ、論文をセミナーや学会で発表し、アカデミック・ジャーナルに投稿し、掲載されるように努力する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)新しいデータを随時更新するために、研究費を使用する。(2)実証分析に必要なモデル及び分析手法の研究開発を行うための資料を購入するために、研究費を使用する。(3)ソフトウェアのバージョアップのために、研究費を使用する。(4)研究発表、資料収集、研究打ち合わせのための旅費として、研究費を使用する。(5)論文のアカデミックジャーナルへの投稿料として、研究費を使用する。(6)英文校閲のために、研究費を使用する。(7)研究補助等の謝金のために、研究費を使用する。
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