本研究の目的は、様々なデータ、最新のミクロ計量経済学の手法を用いて、為替制度選択の経済パフォーマンスへの影響を分析することである。またその時に、為替制度選択の内生性問題を明確に考慮して分析を行う。 前年度に査読付き国際雑誌(Journal of International Money and Finance)に投稿して、エディターからrevise and resubmitの返答を受けている論文に対して、本年度では主に計量分析の再検証及び論文の改訂作業を行った。 当該論文では、各国が公表した為替制度から実際に採用していた為替制度の乖離(一致)が通貨危機発生(及び投機攻撃発生)に影響を与えていたかを検証している。その時、為替制度選択におけるセルフセレクション・バイアスを除去して、為替制度の政策効果を推定するために、the bias-corrected matching estimatorsを用いて分析した。分析結果によれば、Consistent pegs政策(公表した固定相場制を実際にも採用する政策)は他の為替政策に比べて、通貨危機発生確率(及び投機攻撃発生確率)を統計的に有意に低下させていた。 雑誌エディターとレフェリーの指示に従って、様々なロバストネス・チェックを行い、上記の結果の頑健性がより確かめられた。そして、論文を改訂した後、再投稿を行った結果、Journal of International Money and Financeに掲載されることが決定した。
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