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2011 年度 実施状況報告書

地方自治体における行政評価に関する計量分析

研究課題

研究課題/領域番号 23730304
研究機関千葉商科大学

研究代表者

湯之上 英雄  千葉商科大学, サービス創造学部, 講師 (10509590)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード行政評価 / 地方財政 / 計量分析
研究概要

本研究では、地方自治体における行政評価が、地方歳出に対してどのような影響を及ぼしているのかを分析することを目的とする。行政評価によって、歳出が抑制されたり、歳出の配分が変化したりしているのかどうかを地方自治体の統計データを用いた実証分析で明らかにすることを目的としている。 研究実施期間の初年度である本年度は、先行研究のサーベイやデータの収集と整理に多くの時間を費やしてきた。先行研究のサーベイについては、国内外の財政学や政治経済学の文献を網羅的にサーベイした。また行政評価に関する研究は、行政学においても行われており、そうした文献についてのサーベイも同時進行で実施した。 計量分析を実施するため必要となる地方自治体のデータについては、都道府県だけでなく、市町村を扱うため、大量のデータの収集と整理が必要であった。基本的には、デジタルデータとして存在していたため、分析手法に応じたデータの整理を入念に行った。その結果、当面の実証分析に耐えうるデータセットの作成ができた。 研究計画に記載したとおり、データ入力が終了した後、計量分析に取りかかった。初期段階ではあるが推定結果が出そろったため、公共選択学会やEuropean Public Choice Societyの年次大会, Public Choice Societyの世界大会等で研究成果の報告を実施し、討論者をはじめ、他の研究者からのコメントを受けることができた。 そうした研究成果の一部については、論文としてまとめた上で学術誌に投稿を行っている。既に、『地方財政学会研究叢書』や『会計検査研究』に投稿し、査読を経た上で掲載が決定した論文もある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究初年度である平成23年度に実施すべきであると計画した地方自治体の財政データの収集と整理はおおむね想定した段階に到達できた。また、先行研究のサーベイも順調に達成できており、行政評価による地方財政への影響に関する分析手法の検討ができている。 これらに加え、収集したデータを元に予備的な実証分析を行い、公共選択学会やPublic Choice Societyの世界大会等をはじめ、その他の研究会等でも研究発表も実施している。予備的な実証分析であるため、今後、改善点や拡張する部分は残されているものの、こうした研究の進展度合いについては、研究計画書において初年度に計画した内容を十分に達成できていると考えられる。 さらに研究成果の一部については既に『会計検査研究』『日本地方財政学会研究叢書』等に掲載されている。これは研究計画での想定を上回る研究の進展であるといえる。

今後の研究の推進方策

研究計画書に沿って、初年度に引き続き、地方自治体のデータを用いた計量分析を継続していく。今後は、地方自治体同士の相互依存関係に注目して研究を進展させていきたいと考える。これまでの実証研究においては、地域間の相互依存に注目した分析がそれほどなされてきておらず、本研究でそうしたテーマに取り組むことは重要な意義を持つと考えられる。 また、統計データを用いた実証分析と並行して、行政評価に関して先進的な自治体の職員に対してヒアリング調査を実施する必要があると考えている。本研究で予定しているヒアリング調査は、上述の統計データを用いた実証分析と決して切り離されたものではなく、実証分析のモデル設定に生かしていく予定である。ヒアリング調査を行うことによって、行政評価が自治体職員にどのように捉えられているのか、事業の見直しや予算の策定にどのような影響を及ぼしているのかについて、現場の生の声を聞くことができる。現場に行くことによって、それまで気づいていなかった新しい視点も得られるものと考えている。 こうした研究成果を国内外の学会で発表し、その後学術誌への投稿を想定している。現在のところ地方財政学会での報告を予定している。研究の進展度合いをみながら、海外の学会での報告をしていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

研究を遂行するにあたって、必要となる文房具等の消耗品の購入や書籍の購入に研究費を支出する。書籍はおよそ30冊程度の購入を予定している。また、データは毎年更新されていくものであるので、DVDーROMで提供されている『民力』等の最新のデータベースも購入する予定である。 研究成果を地方財政学会の全国大会において報告する予定であり、そのための国内出張旅費が必要となる。また、地方自治体に対するヒアリング調査の実施も予定しているため、各自治体を訪問する際の交通旅費も必要となる。 研究成果を海外の学術誌に投稿するため、英文校正の費用も研究費から支出する。研究計画書に記載したとおり、OnlineEnglish社に英文校正を依頼予定である。その他、資料の複写費や印刷費についても、研究を遂行する上で随時必要となるので、必要に応じて支出する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Estimating Expected Returns to Medical Education in Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Mototsugu Fukushige, Hideo Yunoue
    • 雑誌名

      経済政策ジャーナル

      巻: 第9巻第1号 ページ: 3-21

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 平成の大合併による市町村議会費への影響2011

    • 著者名/発表者名
      広田啓朗・湯之上英雄
    • 雑誌名

      日本地方財政学会研究叢書

      巻: 18 ページ: 62-84

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 自治体財政の健全化と行政評価-都市データによる実証分析-2011

    • 著者名/発表者名
      金坂成通・広田啓朗・湯之上英雄
    • 雑誌名

      会計検査研究

      巻: 44 ページ: 91-101

    • 査読あり
  • [学会発表] Spatial Patterns of Flypaper Effects for Local Expenditures by Policy Objective in Japan: A Bayesian Approach2012

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Kakamu, Hideo Yunoue, Takashi Kuramoto
    • 学会等名
      Second World Congress of the Public Choice Societies
    • 発表場所
      Hyatt Regency Miami
    • 年月日
      2012年3月11日
  • [学会発表] 平成の大合併における議員特例の選択行動2011

    • 著者名/発表者名
      広田啓朗・湯之上英雄
    • 学会等名
      公共選択学会第15回大会
    • 発表場所
      嘉悦大学
    • 年月日
      2011年7月3日
  • [学会発表] Municipal Merger and Special Provisions of Local Council Members in Japan2011

    • 著者名/発表者名
      Haruaki Hirota, Hideo Yunoue
    • 学会等名
      The 2011 Meeting of the European Public Choice Society
    • 発表場所
      University of Rennes 1
    • 年月日
      2011-04-29

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公開日: 2013-07-10  

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