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2012 年度 実施状況報告書

地方自治体における行政評価に関する計量分析

研究課題

研究課題/領域番号 23730304
研究機関千葉商科大学

研究代表者

湯之上 英雄  千葉商科大学, サービス創造学部, 准教授 (10509590)

キーワード行政評価 / 地方財政 / 計量分析
研究概要

本研究では、地方自治体における行政評価が、地方歳出に対してどのような影響を及ぼしているのかを分析することを目的とする。行政評価によって、歳出が抑制されたり、歳出の配分が変化したりしているのかどうかを地方自治体の統計データを用いた実証分析で明らかにすることを目的としている。
研究実施期間の2年目である本年度は、初年度に整理したデータを用いて、実証分析を実施した。行政評価の効果を推定する上で、自治体同士の空間的な相互関係を考慮したモデルや、日本の地方財政制度に存在する非連続性を利用したモデルを適用した。
また、統計データを用いた実証分析と並行して、地方財政の現場である自治体に対してもヒアリング調査を実施した。本年度は、財政破綻を経験し行財政改革に取り組んでいる北海道夕張市にヒアリング調査を実施した。決算データなどの統計データを並べるだけでは把握できないような情報を、自治体の職員の方から聞き取りをできたことは、今後、実証分析の改良を行う上で有意義であった。
研究計画に記載したとおり、研究成果について学会等で報告を実施した。地方財政学会や日本応用経済学会、日本経済学会などの国内の学会や研究会だけでなく、International Society for Bayesian AnalysisやAustralasian Public Choice Societyの年次大会等の海外の学会においても研究成果の報告を実施した。討論者をはじめ、フロアに出席していた他の研究者からのコメントを受けることができた。
こうした研究成果ついては、論文としてまとめた上で、ディスカッションペーパーとして公開するとともに、学術誌に投稿を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究2年目である平成24年度に実施すべきであると計画した地方自治体の財政データの収集と整理はおおむね想定した段階に到達できた。また、整理したデータを用いた実証分析についても、空間計量モデルや地方財政制度に存在する非連続性を利用したモデルなど、最新の計量モデルを用いて実証分析を実施した。さらに、自治体に対するヒアリング調査も順調に達成できており、行政評価による地方財政への影響に関する分析が着々と進行している。
これらに加え、研究成果を地方財政学会や日本応用経済学会、日本経済学会などの国内の学会や研究会だけでなく、International Society for Bayesian AnalysisやAustralasian Public Choice Societyの年次大会等の海外の学会においても研究成果の報告を実施した。学会において討論者や他の研究者よりコメントをもらったことで、今後の改善点や拡張する部分が明確となり、最終年度に向けて方向性が定まったといえる。
こうした研究の進展度合いについては、研究計画書において計画した内容を十分に達成できていると考えられる。さらに研究成果の一部については既に『会計検査研究』『日本地方財政学会研究叢書』等に掲載されている。これは研究計画での想定を上回る研究の進展であるといえる。

今後の研究の推進方策

研究計画書に沿って、初年度、2年目に引き続き、地方自治体のデータを用いた計量分析を継続していく。引き続き、地方自治体同士の相互依存関係や、地方財政制度に存在する非連続性に注目して研究を進展させていきたいと考える。これまでの実証研究においては、地域間の相互依存に注目した分析がそれほどなされてきておらず、本研究でそうしたテーマに取り組むことは重要な意義を持つと考えられる。
また、統計データを用いた実証分析と並行して、行政評価に関して先進的な自治体の職員に対してヒアリング調査を実施する必要があると考えている。本研究で予定しているヒアリング調査は、上述の統計データを用いた実証分析と決して切り離されたものではなく、実証分析のモデル設定に生かしていく予定である。ヒアリング調査を行うことによって、行政評価が自治体職員にどのように捉えられているのか、事業の見直しや予算の策定にどのような影響を及ぼしているのかについて、現場の生の声を聞くことができる。現場に行くことによって、それまで気づいていなかった新しい視点も得られるものと考えている。
こうした研究成果を国内外の学会で発表し、その後学術誌への投稿を想定している。現在のところ国内の学会では公共選択学会、海外の学会ではInternational Institute for Public Finance 2013 Annual Congressでの報告を予定している。研究の進展度合いをみながら、その他の学会や研究会等での報告を実施する予定である。

次年度の研究費の使用計画

研究を遂行するにあたって、必要となる文房具等の消耗品の購入や書籍の購入に研究費を支出する。書籍はおよそ30冊程度の購入を予定している。また、データは毎年更新されていくものであるので、DVDーROMで提供されている『民力』等の最新のデータベースも購入する予定である。
研究成果を公共選択学会の全国大会において報告する予定であり、そのための国内出張旅費が必要となる。また、イタリアで開催予定のInternational Institute for Public Finance 2013 Annual Congressにおいても、報告を予定しており、海外出張旅費が必要となる。他に、地方自治体に対するヒアリング調査の実施も予定しているため、各自治体を訪問する際の交通旅費も必要となる。
研究成果を海外の学術誌に投稿するため、英文校正の費用も研究費から支出する。研究計画書に記載したとおり、OnlineEnglish社に英文校正を依頼予定である。その他、資料の複写費や印刷費についても、研究を遂行する上で随時必要となるので、必要に応じて支出する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 市町村歳出と議会規模-非連続回帰デザインによる実証分析-

    • 著者名/発表者名
      広田啓朗・湯之上英雄
    • 学会等名
      日本地方財政学会
    • 発表場所
      立命館大学
  • [学会発表] Spatial Patterns of Flypaper Effects for Local Expenditures by Policy Objective in Japan: A Bayesian Approach

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Kakamu, Hideo Yunoue, Takashi Kuramoto
    • 学会等名
      日本応用経済学会
    • 発表場所
      福岡大学
  • [学会発表] Spatial Patterns of Flypaper Effects for Local Expenditures by Policy Objective in Japan: A Bayesian Approach

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Kakamu, Hideo Yunoue, Takashi Kuramoto
    • 学会等名
      日本経済学会
    • 発表場所
      北海道大学
  • [学会発表] Spatial Patterns of Flypaper Effects for Local Expenditures by Policy Objective in Japan: A Bayesian Approach

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Kakamu, Hideo Yunoue, Takashi Kuramoto
    • 学会等名
      International Society for Bayesian Analysis
    • 発表場所
      Kyoto Terrsa
  • [学会発表] Local Government Expenditure and Council Size: Quasi-Experimental Evidence from Japan

    • 著者名/発表者名
      Haruaki Hirota, Hideo Yunoue
    • 学会等名
      Australasian Public Choice Conference
    • 発表場所
      University of Tasmania
  • [備考] 湯之上英雄研究業績

    • URL

      http://www.geocities.jp/you_know_a268/jpn/research.html

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公開日: 2014-07-24  

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