研究課題
本年度は,世界同時不況後に日本でなされたエコカー減税およびエコポイントが,自動車産業および家電産業の生産に与えたマクロ的な効果を計測した.具体的には,各々の政策が実施された期間を1,それ以外を0とするダミー変数を構築して,その波及性・持続性をVector Autoregression (VAR)モデルにより計測するという,「Narrative Approach」により分析を進めた.推定の結果,エコカー減税は自動車産業の生産を拡大する結果が有意に計測されたものの,エコポイントは家電生産を拡大するとの結果は得られなかった.エコカー減税については,終了期限を明示したことにより消費者がエコカーを購入しようとしたことで消費の拡大を呼び込み,それが生産の拡大につながったとの解釈がなされる.この点は,同時期のエコカーの販売量が増加していることでもサポートされる.一方,家電についてはその効果がないと解釈される.しかしながら,たとえ自動車産業の生産が拡大したとしても,その効果は軽微かつすぐに有意ではなくなっている.このため,世界同時不況後になされた政策のうち,景気拡張効果をもたらした政策であっても,その効果は大きなものではなく,必ずしも景気回復に寄与したとは限らないことが政策的含意として得られた.また,同時期になされた景気対策と,1990年代の景気対策の効果を比較した.この分析では,公共投資や中小企業支援といった「旧来型」景気対策は却って景気を冷え込ませるなど「非ケインズ効果」を示唆する結果が得られた.このほか本年度は,社会資本のヴィンテージの将来予測,公共投資と地域の景気変動に関する研究や,バブル以降の日本の経済・財政の動きをまとめる研究や,財政改革が財政政策の維持可能性に与える影響についての研究を進めた.
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神戸大学大学院経済学研究科Discussion Paper
巻: No. 1416 ページ: 1-15
Japan and the European Union in the global economy, Bruegel Blueprint Series
巻: 22 ページ: 49-63
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世界経済情勢の変動:1970-2020,南開大学経済学部創設90周年記念論文集,南開大学
巻: 1 ページ: 1-18
公共選択
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