研究課題
わが国の経済にとって為替相場の水準の水準とその変動は非常に重要である。そのため、為替政策の在り方は重要なテーマと言える。そこで、外国為替市場介入が実施されなければどの程度の為替相場水準になったかを仮想的に計算した論文を海外査読付き雑誌に投稿した。その結果、論文がApplied Economics Letters誌に本年に掲載された。もしも為替介入が実施されなければ為替相場が大幅に円高となっていた可能性が示された。次の研究として、円高に関して中小企業にアンケートを実施した。主なアンケート内容は「為替介入は効果があったと思いますか」といった為替政策に関するものである。アンケート用紙を東大阪市を中心に立地する中小企業に配布し、回収した。その結果、為替介入が中小企業にとって有効な政策ではない可能性が示唆された。急激に変化する為替相場を市場参加者はどのように予測するのであろうか。そこで、本研究では確率変数を予測する際にどのような範囲を被験者が選択するかについて簡単な経済実験を行った。また、その研究成果を第9回Modern Monetary Economics Summer Institute (MME SI) in Kobeにおいて「最適な予測範囲について」というタイトルで報告した。従来の研究では理論や計量経済学によるものが多かったが、このような実験は今後国際金融の研究において重要な役割を果たすと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
平成24年度は、「介入後の為替相場のリバウンドに関する研究」、「為替政策と失業の関連の研究」について論文を執筆する予定であった。本年の研究はおおむね順調に行われた。ただし、同時並行で行っていたアンケートによる為替介入の効果の検証の研究および経済実験による予測範囲の検証の研究が思ったよりも順調に捗ったため、本年はそちらの研究に重点をおいて行った。
平成25年度は、これまでに作成した論文の修正、および学術誌への論文の投稿を行う。また、昨年に引き続き経済実験を行う予定である。研究をスムーズに行なうための工夫として、近畿大学内の国際金融の専門家からのアドバイス、および学外で開催される研究会等を有効活用したい。参加している研究会には数多くの国際金融専門の教員がいるため、定期的にアドバイスを受けることで研究の発展を促進することができる。また、研究論文の英語化に関しては、専門家にサポートを受ける予定である。
平成25年度の研究費の使用計画は以下の通りである。物品費が20万円、調査研究のための旅費20万円、図書資料費に10万円である。平成24年度の研究費繰り越し分28247円は物品費に充当する。
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Applied Economics Letters
巻: Volume 20, Issue 3 ページ: 238-243