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2012 年度 実施状況報告書

英豪資源企業の競争優位と日本の資源需要:ポーター「5つの力」による分析

研究課題

研究課題/領域番号 23730320
研究機関東北大学

研究代表者

菅原 歩  東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10374886)

キーワード資源産業 / 鉄鉱石 / グローバル企業 / ローカル化 / リオティント / オーストラリア / 5つの力
研究概要

ポーターの「5つの力」の枠組みを援用して、リオティント社の西オーストラリア州での鉄鉱石事業への参入過程に関する分析を行った。参入過程を、(1)鉱石の買い手である日本企業(商社・製鋼企業)との交渉過程、(2)鉱区供給者である西オーストラリア州政府との交渉過程、(3)競合企業(カイザー・スティール社、米国)との提携交渉過程に分けて分析を行った。リオティント社の競争力がイギリス政府との関係だけに帰されるのではないか、という過去の研究報告に対する指摘を踏まえ、リオティント社のウラン採掘事業への参入と鉄鉱石事業への参入を比較した。ウランの事例では、リオティント社はウランの買い手としてのイギリス政府・カナダ政府との良好な関係があり、これが同社の競争力に帰結した。しかし、西オーストラリア州の鉄鉱石事業参入の事例では、政府との良好な関係という要素は働かなかった。西オーストラリア州政府は、現地企業の採掘権申請を優先するため、リオティント社へ採掘権申請に2年間回答しなかった。しかし、採掘権が与えられた後は、リオティント社の西オーストラリア州鉄鉱石事業は同社の中核部門へと成長していった。鉄鉱石事業成功の要因は、参入時に限定して見ると、鉱石の買い手との関係と合弁相手となった競合企業との関係であった。いずれの要因も、リオティント社のグローバル企業としての地位によってもたらされた。グローバル企業としての地位は、西オーストラリア州政府との関係では影響力をもたなかったが、買い手の日本企業や合弁相手のアメリカ企業にとっては重要であった。しかし他方で、グローバル企業としての地位だけでは西オーストラリア州のローカル市場への参入には不十分であった。最終的にはオーストラリア企業との合併によるローカル化がこの不十分な点を補い、リオティント社は鉄鉱石事業を確立することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

順調に進んでいる理由は、リオティント社の鉄鉱石事業への参入過程を、当初の研究計画通り、ポーターの「5つの力」概念に基づいて分析・整理することができたためである。この成果を海外学会で発表し、ディスカッション・ペーパーにまとめることができた。また、この研究の成果を生かして一般向けの講演も行うことができた。内容上は、分析の結果、研究計画時の見通しを超えて、リオティント社のグローバル企業としての側面が持った影響と限界およびローカル化の必要性が明らかになり、資源産業を超えた国際ビジネス全般に関する含意も得ることができた。

今後の研究の推進方策

資源産業におけるリオティント社の事例の全体像を得るため、鉄鉱石以外の分野、具体的には、銅鉱石・アルミ・原料炭の分野でのリオティント社の活動に関する史料収集と分析を行う。また、これまでの研究で明らかになった、オーストラリア企業コンソリデイティッド・ジンク社との合併の影響の重要性を踏まえて、同社との合併過程についての史料収集と分析を行う。研究の最終年度であることを踏まえて、研究成果を海外学会で発表するとともに投稿論文としてまとめる。

次年度の研究費の使用計画

今後の研究方針を踏まえ、およそ100万円を資料調査のための海外出張費に当てる。また、およそ30万円を研究成果の海外学会での発表のための出張費に当てる。さらに、およそ7万円を英語論文の校閲費に当てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Entry of Rio Tinto into Iron Ore Development in Western Australia2012

    • 著者名/発表者名
      Ayumu Sugawara
    • 雑誌名

      Tohoku Management & Accounting Research Group

      巻: No.107 ページ: 1-22

  • [学会発表] The Entry of the Rio Tinto Company into the Iron Ore Development in Western Australia

    • 著者名/発表者名
      Ayumu Sugawara
    • 学会等名
      EBHA-BHSJ Paris 2012
    • 発表場所
      Ecole des Hautes Etudes en Sciences Sociales (EHESS), Paris, France

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公開日: 2014-07-24  

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