研究計画の最終年度にあたる平成25年度は、当初の予定通り、過去2年間で収集した政府―企業間関係に関する資料の分析・考察を行うとともに、現地調査を含めた資料収集、国内外の研究集会への参加を通じた研究動向調査を補足的に行った。 具体的には、政府―企業間関係の重要なポイントである地方金融機関に関する一次史料と関連文献の分析を集中的に行い、ローカルな資金流通の実態解明を進めた。同時に、上海市および広州市での現地資料調査にて関連する一次史料を収集し、新規に刊行された重要資料である『中共中央文件選集 1949年10月-1966年5月』を購入するなど、関連資料を補強した。また、京都大学および大阪産業大学でのワークショップ・シンポジウム(12月)参加は、最新の研究動向の把握と本研究の位置づけを通時的に捉え直す上で極めて有意義であった。研究成果の発表については、当初予定されていたイギリスでの研究集会が不開催となったが、中国・広東省珠海市で行われた国際シンポジウム(12月21日)および日本国内での国際ワークショップ(平成26年2月10日)にて本研究の成果の一部を報告し、国内外の専門家から貴重なコメントを得た。 以上の平成25年度実績を含む3年間の活動を通じ、当初設定した目的に沿って研究を進展させることができた。各地域での一次史料の公開状況に偏りがあり、予定していた地域的な事例比較を十分展開できなかった面はあるが、事例比較の鍵となる地方レベルでの資金流通構造の把握を進めることができたことは大きな成果であると言える。なお研究の最終的なアウトプットは、分析結果の十分な検討をへた後、学術雑誌への投稿論文あるいは学術著書の一部として公開する予定である。
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