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2012 年度 実施状況報告書

明治・大正期農村経済への数量的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 23730325
研究機関岡山大学

研究代表者

尾関 学  岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (90345455)

キーワード経済史 / 戦前日本 / 農村・農家経済 / 村民所得 / 統計調査史
研究概要

本研究は、明治・大正期農村経済への数量的アプローチとして、村の収入と支出の両方の勘定を調査し刊行した町村是を利用し、明治・大正期農村の経済社会構造分析の一環として「村民所得」の推計を最終的な目的とする。そして、日本経済史研究であまり重視されてこなかった消費の経済史研究も合わせて進めている。
平成24年度は、島根県町村是のデータベースの構築に重点をおいて進めた。その中心的な内容は、次の二つである。(1)データベース作成ではデータを入力の準備作業として、そのデータがどのような性質を有しているか確かめる必要がある。島根県では町村是調査に際し調査マニュアル(調査標準)を作成しており、この調査標準の分析を進め、島根県町村是の特徴を確認した。(2)データの入力は、現在使用可能な島根県町村是、約80町村について、①村全体の収入と支出、②生産、③消費、④財産の各データを入力した。加えて、⑤階層別の消費データの入力を進めている。以上のデータ入力に際しては、データの特徴と性質に細心の注意を払って作業を進めている。
また、本研究で利用する町村是と関連する農家経済調査についての研究をすすめた。戦前日本の農業データとしての町村是は、調査・刊行の時期が明治・大正期を中心としているので、昭和初期の農村・農家経済について知ることができない。そのため、戦前日本の農村・農家経済を捉えるためには、農家経済調査の利用が欠かせない。加えて重要な点は、農家経済調査の設計に際し、本研究で利用する町村是が参考されていたのである。よって、町村是という資料を相対化する意義もあることから、戦前日本の農家経済調査を英国のFarm Management Surveyとの比較で共同研究を行い。英国と日本の学会でそれぞれ報告した。さらに、京都大学の大槻正男による農家経済簿記英語版の意義と今後の研究について、資料論として公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は、島根県町村是のデータベースの構築を進めた。(1)島根県では、町村是調査に際し、調査マニュアル(調査標準)を作成しており、この調査標準の分析を進め、島根県町村是の特徴を確認した。(2)データは、現在使用可能な島根県町村是、約80町村について、①村全体の収入と支出、②生産、③消費、④財産の各データを入力した。加えて、⑤階層別の消費データの入力を進めている。
さて、戦前日本の農村・農家経済を捉えるためには、農家経済調査の利用が欠かせない。そこで、本研究で利用する町村是と関連する農家経済調査についての研究をすすめた。そして、農家経済調査の設計に際し、本研究で利用する町村是が参考されていたため、町村是という資料を相対化する意義もあることから、戦前日本の農家経済調査を英国のFarm Management Surveyとの比較で共同研究を行い。英国と日本の学会でそれぞれ報告した。
以上の通り、町村是の研究を進めつつ、それに関連する分野との研究を合わせて推進することにより、本研究をより充実させることに努めてきた。

今後の研究の推進方策

平成25年度も引き続き島根県のデータベース構築を進め、島根県町村是のデータベースを完成させることを目的とする。並行して、データベースに蓄積したデータを利用しながら、データベース上の問題点を確認し、改善をすすめる。具体的には、島根県町村是のデータベースを用いて、1890-1910年代の農村の基礎データとしての村民所得の推計をすすめる。そして、資料論分析では、最初の町村是調査が行われた福岡県の町村是調査標準を検討し、島根県の町村是との比較可能性について、検討を進める。そして、追加的に入力する予定である福岡県のデータベースに改善点を反映させる。なお、ここでの作業は蓄積型のものであるため、進捗状況のずれが生じる可能性があることをはじめにに指摘しておきたい。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、福岡県町村是のデータ入力を進めるため、PCを追加的に購入する予定である。なお、ここでの作業は蓄積型のものであり、多少の進捗のずれが生じる可能性があることを先に指摘しておきたい。また、我が国において歴史資料は、インターネットから入手できない状態が続いているため、資料調査のための旅費として使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [学会発表] 農家経済調査の英日比較――比較史からみた制度の形成過程――(要旨のみ)2012

    • 著者名/発表者名
      山本千映・尾関学(報告は尾関学)
    • 学会等名
      2012年度社会経済史学会中国四国部会松山大会
    • 発表場所
      松山大学・愛媛県松山市
    • 年月日
      20121208-20121209
  • [学会発表] Agricultural Surveys in Japan and England (full paper 有)2012

    • 著者名/発表者名
      Chiaki YAMAMOTO and Manabu OZEKI (delivered by Chiaki YAMAMOTO)
    • 学会等名
      The 7th Anglo-Japanese Conference of Historians
    • 発表場所
      Cambridge University, Cambridge, UK
    • 年月日
      20120911-20120914
  • [図書] 『数量経済史の原点:近代移行期の長州経済』2013

    • 著者名/発表者名
      西川俊作
    • 総ページ数
      pp. 163-171
    • 出版者
      慶應義塾大学出版会
  • [図書] 『自計式農家経済簿記とその理論:英語版 附解題』2013

    • 著者名/発表者名
      大槻正男
    • 総ページ数
      pp. 1-13
    • 出版者
      一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センター

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公開日: 2014-07-24  

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