本年度も、前年度に引き続き両大戦間期に注目した研究に従事した。収集した史料を基に1920-1930年代のクリアリングバンクの外国為替業務、特に外貨建て預金(ロンドン及び海外保有)・コルレス先銀行への外貨建て貸付の取扱い・外国部の収益等の検証を行った。また、イギリス4大銀行のうち、これまで手がけていなかった旧ウエストミンスター銀行の史料の収集を継承銀行であるロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)アーカイブにて行った。同アーカイブでは、両大戦間期のみならず、本研究対象時期全般における調査を行った。この結果、1920-1960年代におけるロンドンにおける外国部、ならびに海外系列銀行であるウエストミンスター外国銀行の活動および収益に関する史料を幅広く収集した。また、ロイズ銀行アーカイブにおいて、これまで未収集であった1920-1930年代における同銀行の海外系列銀行であるロイズ・ナショナルプロビンシャル外国銀行の収益に関する史料も入手した。研究対象とする時期を比較的長期に設定したため、史料の収集・分析に大きな時間をかけざるをえなかったが、1920-1960年代から4大銀行本店ならびに主要系列海外銀行(BOLSAを除く)の史料をほぼ網羅することができた。今後は、本研究プロジェクトで入手した未開拓の史料を基に、1.ポンドの凋落とロンドンにおける外国為替取引胎動みられる両大戦間期(1919-1937)、2.ポンド防衛とユーロダラー市場の発展がみられる戦後期(1945-1968)、3.クリアリングバンクが外国為替業務・ユーロダラー市場に本格参入する1970年以降の時期に関する論考をできるだけ速やかにまとめることを目指したい。
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