• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

戦後改革と日本企業における研究開発の再編:実用化研究を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 23730329
研究機関東洋大学

研究代表者

中島 裕喜  東洋大学, 経営学部, 准教授 (50314349)

キーワード科学技術史 / 技術移転 / 戦後復興 / 実用化研究
研究概要

終戦直後の日本人技術者が敗戦時までのドイツからの技術情報を入手した事例について、調査を進めた。平成24年度に滞在したイギリスの国立公文書館で入手した公文書、また独自に入手した欧州大学連合の博士論文などを読解し、日本国内では知ることのできない史実の発掘を進めた。その成果を論文としてまとめ、「The Allied Forces and the Spread of German Industrial Technology in Postwar Japan」として発表した。
本科研費の研究課題である「実用化」技術という観点からみると、日本の企業や官公庁に属している技術者たちが、戦後復興という現実的な課題に応えるべく、膨大な技術資料のなかから実用的な技術情報を獲得するプロセスを描いたという点で有意義なものであると考える。とくに近年の研究で注目されてきた、産業・官庁・軍・学会のネットワークがもたらす技術発展への影響の大きさが、本研究のなかでも確認されている。たとえば化学の分野で業界団体が技術情報の流布に大きな役割を果たしたり、東京工業試験所の化学研究室では調査チームを作り、そこで得た情報を研究で関係のある企業に伝えるといった事例を見つけることができた。
この他、戦後直後の日本の科学技術状況について日本学術会議の評価は政治的な影響力を持たないことが先行研究で指摘されていたが、本事例に限ったことかもしれないが、日本学術会議において指導的な役割を果たしてきた科学者たちが科学技術行政協議会などで積極的に意見を述べていたことが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の目的に照らして、「戦後日本における実用化研究」の一断面を明らかにしつつあるので、おおむね順調といえるが、当初の目標として掲げていたGHQ文書の読解については未だ十分な成果を出していないので、これについても平成26年度に進めて生きたい。

今後の研究の推進方策

本科研の研究開始時点では「電気通信について調査を進める」としてきたが、研究をすすめるなかでイギリス公文書館に所蔵されている米英軍のドイツ技術接収関係の文書を見つけたため、もう少し幅広い観点から「占領期の日本にもたらされた技術情報の流れを解明する」という方向性で研究を進めていきたいと考えている。ただし、そのなかでは当初の研究目的の1つにあったGHQ文書の読解は重要な作業であるため、必ずしも大きな変更とはならないと考えている。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度に所属研究機関から海外研究を許可され、海外に1年間滞在したため、その年度の研究費執行額が大幅に少なかったことを受け、続く平成25年度に約21万の繰越が生じた。この全額を年度内に執行できなかったので、引き続き16万円強の繰越が生じた。
次年度は最終年度であること、また予算の割り当てが前年度までよりも小額であることから十分に執行可能であると考えている。主に、収集した資料のスキャニング作業を進めるための費用、学会参加費などに充てることにしている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 図書 (1件)

  • [図書] Organizing Global Technology Flows2014

    • 著者名/発表者名
      中島裕喜
    • 総ページ数
      197-212
    • 出版者
      Routledge

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi