研究課題/領域番号 |
23730331
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
山内 雄気 同志社大学, 商学部, 助教 (30552517)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 経営史 / 図案家 / ファッションビジネス |
研究概要 |
本研究の目的は、日本の近代ファッションビジネスの黎明期(1910年から1930年)に登場した新たな社会階層である職業図案家(ファッションデザイナー)の果たした役割を明らかにすることである。もちろん、図案家は中世から存在していたけれども、彼らはお抱え絵師など極めて少数の特殊技能者にすぎなかった。これに対し、この時期に登場した職業図案家は、その数を飛躍的に増加させ、ホワイトカラーなどと同様に、ある一定の社会集団を構築するに至っていた、と申請者は考えている。ところが、やや意外なことに、これまで職業図案家についての研究はほとんど進んでいない。本研究は、この空隙を埋める先駆的研究を目指すことになる。 これまでの研究の進捗状況は、おおむね良好に進捗しているといえる。というのも、科研費を使ってデータ入力を積極的に行っているため、最大の目標である図案家のデータベース作りが順調に進捗しているからである。さらに、必要とされると思われるいくつかの史料も入手することができた(たとえば『染織図案変遷史』など)。さらに、デザイン史研究会において当該研究を報告し、多方面の研究者からコメントをもらうこともできた。 なお、問題点は以下の通りである。当初想定していたよりも、図案家に関連する史料を発見できていない。図案それ自体については多く残されているものの、他方で図案家間の交流や、商人らとの契約関係を示すような史料を、現在のところきちんと入手できていない。この点は今後の課題と言えよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、図案家データベースの作成を春先までに完成させておく予定であったけれども、現在7割方完了という状況である。ただし、これは致命的に遅れていたり、完成が見込まれないというわけではなく、想定よりも少し時間がかかっているだけであるため、それほど大きな問題と考えているわけではない。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、史料を収集し今年度中にディスカッションペーパーにまとめることを想定している。そのうえで、海外の学会で報告することを予定している。具体的には、次の通り。8月には、デザイン史研究会での報告を予定している。9月には、EBHA-BHSJ Paris 2012 Conferenceへの参加が決まっている。3月にはBusiness History Conference Annual Meetingへの参加も想定している。なお、8月の研究会および9月の国際学会への参加はすでに認められている。
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次年度の研究費の使用計画 |
基本的に、中間報告を中心に考えている。より具体的には、海外学会への参加を勧める予定である。 おおむね、海外学会への参加費50万円を想定している。 次に、史料収集費30万円。データベース整理費用に20万円。雑費として10万円を想定している。
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