研究概要 |
本年度は、研究論文を一本執筆した。その成果は、以下の通りである。 山内雄気(2014)「Why was Meisen, Japan's traditional woorking clothe, accepted well in the market as everyday clothes and stylish garment between 1900 to 1930?」『同志社商学』第65巻第5号、299-313頁。 論文の概容としては、研究課題である図案家の役割を理解する前提となる、消費者や企業の変化についての分析をおこなった。具体的には、その当時の雑誌記事の言説の変化を整理することで、着物の図案を重視するようになっていった様相を明らかにした。消費者は、それまで縦縞や格子柄といったやや単純な模様を一般的に評価してきたのだけれど、女子学生が制服として銘仙をを採用したことを通じて、若者を中心として、徐々に華やかな模様を楽しむようになっていった。それに対応するべく、百貨店を中心に企業サイドも、デザイン性を高めるための対応を図っていったことが明らかとなった。 このような消費者サイドと企業サイドの変化という観点を整理することを通じて、社会のなかで図案家を要求する下地が形成されつつあったという論点を提示することに成功したのではないか、と申請者は考えている。今後、図案家を企業側がどのように利用していこうとしていたのかを明らかにすることで、研究の視座はより精緻化されていくものと思われる。
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