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2012 年度 実施状況報告書

産業集積の再構築過程に関する概念的モデルの開発と経験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 23730337
研究機関北海道大学

研究代表者

相原 基大  北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40336144)

キーワード産業集積 / 再構築過程 / 準拠枠 / ディスコース
研究概要

研究期間の2年目である2012年は,主に次の3つの研究活動を展開した.
第1に,調査対象である産業集積地に関する35年から51年にわたる各種統計を収集し,海外および国内の他産地の数値と照合して,国際的な産地間競争の態様や産地の分業構造の変動などのマクロ的な動向を詳細にトレースした.トレースの位相は,前年度に実施した国内外の産業集積研究のレビューを通して仮説的に構築した,産業集積の再構築過程を正確に捉える概念モデルを基盤にした.現在,産業集積地の動態を特徴づける長期にわたる量的データの挙動に関する記述的な研究の成果を,ディスカッションペーパーにまとめている.
第2に,昨年度に収集した調査対象の産地および関連業界に関する過去43年分の史料を整理し,包括的なデータセットを構築するとともに,産業集積地の現状が形づくられるに至る歴史的な因果関係の連なりの記述に着手した.現在,長きにわたり産業集積地を取り巻いてきた複数の文脈を抽出し,それぞれの文脈ごとにイベントの連鎖およびイベント間の論理的な関連性を記述している.
第3に,組織ディスコース研究などの分野で開発されてきた理論的な視角や分析手法を援用し,産業集積の歴史的なコンテクストおよび産業集積を構成する行為主体の主観的世界と相互行為を組み込んだ,産業集積地の動態に関する分析の視角と手法の開発に着手した.現時点では,上記の2つの研究活動を並行しながら,量的データの長期的な挙動と質的データの歴史的な因果関係の連なりとを接合し,産業集積地の再構築過程を統合的に理解するための分析手法の開発と概念モデルの改良を進めている.

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

第1の研究目的である産業集積の再構築過程を捉える概念的モデルの開発については,先行研究のレビューを通して前年度に組み当てた試論的モデルを,独自に収集した経験的データと照合しながら漸進的に改良することに一定程度成功している.他方,前年度の時点で本研究の参照点となる信頼できる既存の知見が断片的であることが判明した結果,分析的帰納を通して歴史的な豊かさを欠かずに適切に制御されたモデルを析出する手続きを採用したために,第2の研究目的である経験的な検証の手法に若干の修正が必要になっている.ただし,既述の通り,経験的データの収集が当初計画よりも進んでおり,研究計画の執行上大きな問題にはなっていない.

今後の研究の推進方策

第1に,これまでの研究に引き続き,調査対象である産業集積地のパフォーマンスの挙動にもとづき複数の分析対象期間を区分して,各期に関して,国際的な産地間競争の態様,産地の分業構造の変動,関連する行為主体のディスコースや諸活動に関する定性的データと,産地出荷額,最終製品の小売市場規模,貿易額などの量的データの挙動とを照合し,産業集積の再構築過程に関する詳細な記述的研究を遂行する.
第2に,産地内の行為主体が展開してきたディスコースや諸活動および事業慣行に代表される行為主体間の相互作用秩序を手がかりに,産業集積の再構築過程をダイナミックに捉える概念的なモデル構築の可能性を探求する.史料に掲載されている過去の発言・見解,業界が置かれていた状況の認識,具体的な活動の内容などについて,今年度にアプローチした当事者に確認をとり,当時に各行為主体が見ていた世界を重ね合わせながら概念モデルの精緻化を試みる.

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の未使用額68,878円については,2013年3月15日から同19日までの期間に実施した,研究協力者である龍谷大学秋庭准教授の研究室での資料整理と打ち合わせの出張旅費に充てる.

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公開日: 2014-07-24  

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