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2013 年度 実施状況報告書

合併・提携と発明者の生産性

研究課題

研究課題/領域番号 23730340
研究機関関東学院大学

研究代表者

真保 智行  関東学院大学, 経済学部, 准教授 (70533355)

キーワード技術経営 / 特許データ / 発明者 / 企業間関係
研究概要

近年ではハイテク産業を中心として、技術獲得や技術開発を目的としたM&Aや提携が多くなってきている。こうした背景には、研究開発シナジーを働かせたいという企業の意図がある。研究開発シナジーとは、異なる企業が合併することによって、異なるR&Dインプットを新しく組み合わせることが可能となり、以前は実行不可能なプロジェクトが実行可能となり、新しいR&Dアウトプットが生じることを意味する。ただし、複数の企業が合併すれば、自然と研究開発シナジーが生じるわけではなく、そうした研究開発シナジーが生じるには、資源の再配置が必要だと指摘されている。すなわち、合併後に2つの組織をそのままにしていては、研究開発シナジーは生じることはなく、組織の統合を図ることが求められる。
2013年度には、2つの方向性で研究を進めた。1つは、社会ネットワーク理論の導入である。この理論は人と人との関係性に注目したもので、発明者を分析単位とする研究には有益だと考えられる。そこで、その理論の概要と先行研究を調査した。さらに、分析ソフトを購入し、簡単な分析を試みた。
もう一つは、分析対象を合弁会社に広げた。対象とした企業は旭ダウである。同社は旭化成とダウ・ケミカルが設立した合弁会社である。収益性や技術開発の面で非常に成功した合弁会社だったと言われており、1982年に旭化成に吸収合併された。2013年度には、旭ダウの特許データを整理し、当時の技術者へのヒアリングを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2013年度の予定は、合併の分析を完成させ、新たな分析対象に分析を広げるというものであった。合弁会社に分析対象を広げ、関係者のヒアリングをできたことは、新たな方向に研究を進めるために非常に有益なものとなった。しかし、いくつかの点で予定通りにはいかなかった。
1つは社会ネットワーク理論の導入と関連する。この理論の導入はこれまでの分析に新たな解釈をもたらすものであるため、その理論の概要を理解すること、および先行研究の調査を優先した。そのために、合併の論文の完成には至らなかった。
また、所属の変更に伴い、科研費の使用可能時期が大幅に遅れたこともその一因である。

今後の研究の推進方策

まずは、関連する先行研究を整理し直す必要がある。これまで調査してきた先行研究に加えて、社会ネットワーク理論やプロジェクト特性アプローチに関する研究を整理し、仮説の導出や分析結果の解釈に修正を加えることを考えている。その上で、論文を修正し、投稿することを予定している。
次に、合併の分析に関して、関係者へのヒアリングを行うことを予定している。やはり特定の企業に関する分析である以上、関係者の生の声を聞く必要がある。ただし、合併から時間がたっているために、その関係者を見つけることが難しいという点もある。
最後に、合弁会社に関する研究を進めることである。ヒアリング調査の結果を踏まえ、データセットを構築し、分析を行うことを予定している。

次年度の研究費の使用計画

所属の変更に伴い、科研費の使用可能時期が大幅に遅れたことが一番の理由である。
また、社会ネットワーク理論の導入はこれまでの分析に新たな解釈をもたらすものであるため、その理論の概要を理解すること、および先行研究の調査を優先した。そのために、合併の論文の完成には至らず、計画が遅れることとなった。
まず、合併に関する論文の完成と投稿を考えている。そのために、投稿や翻訳に費用がかかる。また、合併の関係者へのヒアリングを予定している。そのために、旅費がかかる。さらに、合弁会社の分析を進める。文献の購入に費用がかかる。最後に、関連する学会への参加に費用がかかる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 企業間関係と発明者のマネジメント2014

    • 著者名/発表者名
      真保智行
    • 雑誌名

      経済経営研究所年報

      巻: 36 ページ: 41~49

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公開日: 2015-05-28  

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