近年ではハイテク産業を中心として、技術獲得や技術開発を目的としたM&Aや提携が多くなってきている。こうした背景には、研究開発シナジーを働かせたいという企業の意図がある。研究開発シナジーとは、異なる企業が合併することによって、異なるR&Dインプッ トを新しく組み合わせることが可能となり、以前は実行不可能なプロジェクトが実行可能となり、新しいR&Dアウトプットが生じることを意味する。ただし、複数の企業が合併すれば、自然と研究開発シナジーが生じるわけではなく、そうした研究開発シナジーが生じ るには、資源の再配置が必要だと指摘されている。すなわち、合併後に2つの組織をそのままにしていては、研究開発シナジーは生じることはなく、組織の統合を図ることが求められる。 2014年度には、社会ネットワーク理論を導入して分析を行った。この理論は人と人との関係性に注目したもので、発明者を分析単位とする研究には有益だと考えられる。そこで、その理論の概要と先行研究を調査した。さらに、分析ソフトを購入し、実際に分析を行い、学会発表を行った。
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