研究課題
本研究は,近年重要性が非常に高まっている日本企業の株式を通じた資金調達(エクイティファイナンス)に関して,日本の制度的側面や変化が及ぼす経済的影響を実証的に分析することを目的としている.研究期間中の主な研究実績として,査読雑誌に4本(国際的著名ジャーナル含む),ワーキングペーパー5本,学会発表7回(国際学会含む)行った.また,証券アナリスト協会から,本研究実績に対し,証券アナリストジャーナル賞が受賞された.具体的な研究内容に関して,「増資インサイダー問題と資金調達コスト」論文では,公募増資前の空売り規制やインサイダー取引が企業の資金調達費用に及ぼす影響を定量的に検証した.約10%の公募増資において,公募増資前にインサイダー取引の疑いのあることを指摘し,そうした取引が生じた場合,企業は約8%の資金調達コストを負担している可能性があることを示している.「日本の公募増資時のディスカウント率の決定要因」論文では,1980年代以降,商法,証券取引法の変遷にに伴う公募増資のタイムスケジュールの変化が企業側の資金調達コストに対するインパクトを検証している.タイムスケジュールの低下により企業は約5%近い調達コストの低下をもたらし,コスト面からの法改正の意義を明らかにしている."Do the use of proceeds disclosure and bank characteristics affect bank underwriter's certification roles?"論文は,日本の銀行系証券会社の引受業務が企業や市場評価に及ぼす影響を検証している.銀行系証券会社が引受主幹事の時に,市場からの評価や長期パフォーマンスは高いが,借入金の返済のための増資時にはその影響は無くなることを明らかにした.
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日本経営財務研究
巻: 第.33巻1・2号 ページ: 39-56
証券アナリストジャーナル
巻: Vol. 51, No. 1. ページ: 88-99