研究課題/領域番号 |
23730362
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研究機関 | 北海道工業大学 |
研究代表者 |
湯川 恵子 北海道工業大学, 未来デザイン学部, 准教授 (20420763)
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キーワード | 技能伝承 / 人材育成 / 技能の可視化 |
研究概要 |
2年目の研究においては,工作機械産業の人材育成にまつわる現状をアンケート並びにインタビューにて概観した結果,「OJTに大きく依存した人材育成」や「人材育成システムの未整備」の問題が顕著になった.ゆえに熟練技能者の思考や経験のプロセスをモデル化し,人材育成の効率的なプログラムに展開する方法論を模索することが,熟練技能教育の加速化において有効な方法論になることがより一層明らかにされた. また,この研究課題に対して実践現場で起きている事象の解明のみならず,組織論的アプローチも試みた.人材育成の問題を組織の問題ととらえ,現場において数ある作業の中で「なに(what)」を「どのように(how)」教育していくかを考え,人材育成プログラムを構築していくかは組織,すなわち企業の側の問題とし,このプログラム構築に規則性や法則性を見い出し,一般化することができれば熟練技能人材育成の一助になると考えたからである.つまり「熟練技能の伝承」問題を,「個人」の問題ではなく「組織」の視点からアプローチすることで,熟練技能の伝承に向けた新たな方法論が構築されることを理論的にも裏付けることに注力した. 以上をもとに効果的な熟練技能人材育成のために,工作機械業界標準となるような熟練技能者育成プログラムを作業の優先順位に基づいて策定し,これを活用することで好適な人材育成プログラムを構築するために,工作機械産業における作業を抽出し,「①技能依存度」「②出現頻度」「③教育の時期」「④教育方法」の各項目にて5段階で点数化し,それぞれの作業の重みづけを行うことで,人材育成システム提案のための基礎データを整理した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属変更に伴い,物理的に本研究に注力できる時間が当初予定よりも少なかったことが理由に挙げられます.新年度においては,収集されたデータを多角的に分析し,研究報告等,成果発表に注力していきたいと考えています.
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今後の研究の推進方策 |
2年目の分析結果をもとに,どのような作業をどのようなタイミングでどのような方法で教育するのかということを,作業ごとに具体的に明らかにしつつ,わが国の国際競争力の源泉として高度熟練技能の存在を強調できたらと考えている.またインタビュー調査から得られた情報をもとに,大学における工学教育と熟練技能教育との円滑な接続による技能人材育成の加速化についても調査予定であり,その成果を発表する場を国内外に持ちたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究をさらに深化させるとともに,成果発表に力を入れていきたい.ゆえに企業および識者へのインタビュー調査ならびにその成果発表を中心に研究費を有効に使用していきたいと考えている. ①旅費(各種調査・研究会参加・成果発表) ②調査結果整理に係る人件費 ③その他雑費(通信費・書籍代等)
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