研究課題/領域番号 |
23730364
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
山下 勝 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (80348458)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Career Capital Pyramid / プロデューサーシップ / 人材育成 / 米国 |
研究概要 |
本研究の目的は、プロデューサー的人材の育成にある。これまで、そのフレームワークとしてCareer Capital Pyramid Model(CCPM)をつくってきたが、この枠組みを精緻化することが究極の目的となる。そのため、2011年度は米国の企業人の学習パターンを調査し、CCPMに反映させるため、現地に長期滞在し、データの収集を行った。 日本の企業と比較した際、米国企業の特徴は、従業員のスキルアップを図った研修等については実に多く用意されているが、将来の異なる職務(より高度な職務や職位)に備えた研修については、大手企業の一握りの管理者層を除くとほとんど行われていないという事実がある。これは、日本企業では経営者の育成を内部で行うのと対照的に、欧米の企業では管理者や経営者を外部から登用するという一般的な知見と深く関連するものである。すなわち、日本企業が職務と切り離して人を管理対象にしているのに対し、欧米企業は人を常にその特定の職務に紐づけて管理しているということである。組織の運営において、米国においてもっとも重視されるのはあくまで事業の目的と、それを遂行するためにデザインされた各職務内容であって、それを担当する人材は原則的には代替可能だという近代合理的な考え方が占めている。 CCPMにあてはめれば、これらの人材の学習モデルのパターンはComparative Career Formation(相対的キャリア形成)に相当するが、その背景にはより複雑な文化的コンテクストが存在しているようであった。より詳細な分析については2012年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
米国での長期滞在のため、現地の生活に適応する必要があったが、それが思いの外に障害となり、本研究に充てる時間を目減りさせた。そのため、データ収集のみを優先して行い、その分析については帰国後の2012年度に行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は、上記にもあるように米国で収集したデータの分析を主に前半に行うとともに、その分析結果をもとにあらためて日本の企業人への面接調査を行っていく。面接調査は年内に終え、年明けから年度末にかけては、Career Capital Pyramid Model(CCPM)にそれらを反映させ、モデルの再構築に着手する。 2013年度については、当初の予定通り、本研究のアウトプットの作成と、その公表に時間を掛ける。主に2013年度前半にアウトプットを作成し、後半より論文もしくは出版物の原稿の作成にとりかかる。早ければ2013年度末、遅くとも2014年度にはアウトプットが公刊されるようにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
日本の企業人に対する面接調査では、若干の交通旅費を必要とするのでそれに研究費を充てるとともに、面接の音声データについてはすべて文書化し起稿する。この起稿費用に研究費を充てる。また、米国での長期滞在のため、国内の研究施設の環境(設備)が若干古くなっている。研究の環境整備に研究費を充てるとともに、この1年間で発刊された日本語の文献の購入に充てたい。
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