研究課題/領域番号 |
23730364
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
山下 勝 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (80348458)
|
キーワード | 経営学 / 人材育成 / プロデューサーシップ |
研究概要 |
本研究は、プロデューサー人材(創造的人材)の育成方法について日米比較を行うことを目的としている。具体的には、キャリア・キャピタル・ピラミッド(階層的キャリア・キャピタル)という、プロデューサー人材のキャリア開発の仕組みに関する概念を日米の企業人に適用し、その精緻化を図るとともに、その文化差について説明しようというものである。 これに基づき、平成23年度に米国において面接調査が行われたのに対し、平成24年度は日本国内において面接調査が行われた。対象は某企業の20代後半から30代半ばまでの若手社員7名であった。面接方法としては、オープンエンドの半構造化インタビューの形式をとった。就職してから現在に至るまで、どのような仕事経験をし、どのような就業意識を持つようになったのかについてのデータを収集した。 これらの分析結果から言えることは、若手社員の多くが同型的な価値形成に傾倒してきたことである。入社当時は、同型的な価値形成すら進まず、汎用的な仕事上の知識の獲得を目指し、どちらかといえば相対的な価値形成を行おうとしていたが、入社後数年をかけ、徐々に同型的な価値形成へと向かってきたようである。多くの被面接者が勤務先の職場に適応し、落ち着きを持って仕事に向かっている様子が観察された。しかしながら、プロデューサー人材に見られるような、同型的価値形成から相対的な価値形成または創発的な価値形成へと向かう者は見られなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、予定していたほどは研究が進まなかった。理由のひとつは面接調査が、日程調整が難航したために、当初の予定ほどにはできなかったことである。あらかじめ調査協力企業の窓口担当者に依頼をしていたが、人事異動も含めその担当者と被面接者とのコミュニケーションが取りにくくなったのが主な原因である。 また被面接者数が少なかったために、分析作業自体もデータ不足のために、滞ってしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、平成25年度はアウトプットの作成とその報告を中心としていたが、面接調査と分析作業が25年度にも多く残されることとなった。そのため、報告については研究期間終了後とし、25年度には調査ならびに分析とともにアウトプットの作成を行う方針である。 また、上記のように、本研究の課題は、リサーチサイトへのアクセスである。しかしながら、幸いなことに、調査協力企業の担当者も平成25年度については面接調査の受入が可能な体制となっている。さらに、これまで幾つかの条件を設けていた被面接者の対象者を拡大し、候補者を増やす方針である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
面接調査が平成25年度にずれこむこともあり、データ整理(主に音声データの起稿作業)に20万円程度の費用が必要であると思われる(人件費・謝金)。また、分析作業のための端末や専用のアプリケーションの購入に40万円程度を想定している。旅費については、調査とともに本テーマに関連する学会への参加とで30万円程度を見込んでいる。
|