研究課題/領域番号 |
23730379
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中岡 伊織 宇部工業高等専門学校, 経営情報学科, 助教 (50469186)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ポジティブサイコロジー / 因子分析 |
研究概要 |
採用は企業の人的資源の構成を決めるものであり,その企業の労働力の質と量を決定する.人材採用管理は企業活動の中核を構成し,かつ,中・長期の経営計画の遂行において非常に重要なファクターとなっている.一般に企業が人材を採用する際には主に,能力や徳を重視して採用活動を行っている.能力では,学歴や各分野に対する能力,徳では人間性に関する項目を利用している.本研究課題で取り扱う問題は,採用可能人数という制約条件を満たしながら,能力や徳がそれぞれ最大になる組み合わせを探す問題である.その後,企業ごとに合わせて,採用候補者の中から実際に採用すべき人材の組み合わせを提示することを最終的な目的としている.上記を解決するためのシステム構築にあたり,その前提条件として,採用候補者となる人の能力や徳を数値化する必要がある.そこで本年度では,まず人間の徳の数値化を少ない質問項目で簡易的に表すことができる従来手法の調査を行ったが,主だったものが見つからなかった.そこでポジティブサイコロジーを提案したM.Seligman著の"Authentic Happiness"に記載されている,好奇心,自己管理能力,ユーモアなど24項目(各々2種類の質問項目)より計48種の質問項目を採用することとした.しかしながら,採用活動をする企業担当者が,採用候補者ごとに48項目も評価することは非常に難しいと考えられるため,評価項目を絞り込むための実験を行い,その実験結果を因子分析を用いることにより実際に評価すべき項目の絞込みを行うこととした.アンケート実験はこれから開始するが,被験者数は数百名程度で行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究を遂行するにあたり,必要となることとして採用候補となる人物の能力や徳を数値化することがあげられる.これに関する従来手法の調査を行なっていたが,少数の項目によって人間の徳を数値化する既存手法が見つかっていない.ここが解決できれば,ある程度円滑に研究をすすめることが可能であると考えているが,ここがまだ進んでいないのが最大の理由である.この問題を解決するための実験を行うことは決定しているので,実験を早期に開始し,システム構築へとつなげていきたいと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
まず人の徳を表す項目の絞り込みを行うための実験を早期に開始する.徳と同様に人の能力をいかに数値化するかという問題は残されているものの,その点については,本研究を推進するにあたりアドバイスなどを頂いている東出教授が過去に実験された結果を採用し,早い段階で企業に適した採用候補を絞るシステムの構築を進めて行こうと考えている.さらに,実際の企業に適用した場合への提案手法の有用性・有効性評価へと,順に研究を推進していく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
主な使用用途として,徳の評価に用いるアンケート実験代および,システム全体の評価に用いるアンケート代として使用する.またアンケート結果を分析するためのPC,ソフトウェア代があげられる.交付申請書では今年度,PC,ソフトウェア等の購入のために物品費50万円を申請しているが,23年度に構築する予定であったシステムに必要なデータ(人間の徳等)の数値化が完了しておらず,システム構築を行うためのPC,ソフトウェア等の購入に至らなかった.
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