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2013 年度 実施状況報告書

製品コンセプトの変動とそのパターンに関する論理の探求

研究課題

研究課題/領域番号 23730385
研究機関中京大学

研究代表者

山崎 喜代宏  中京大学, 経営学部, 准教授 (40551750)

キーワード製品開発 / 製品コンセプト
研究概要

本研究の目的は、先行研究において解明されてこなかった製品コンセプトの変動メカニズムに関する論理を構築することである。単一事例の事例分析を複数行うことにより、ドミナントデザイン形成以降に、企業がどのように製品コンセプトを変動させるのか、そのメカニズムを探索的に構築することを目指している。
本年度(平成25年度)は、前年度に引き続き事例分析を中心に研究を進めた。特に、デジタルカメラ産業におけるカシオ計算機「EX-S1」の開発事例と、家庭用据置ゲーム機産業の任天堂「Wii」の開発事例については、厚い記述を目指した論文作成を行った。先行研究では、企業が製品開発を通じて競争要因を変化させる際には、静態的なツールしか提供してこなかった。それに対し、本研究では、競争要因の変化が起きる発端からそれが変化していくプロセスを動態的なメカニズムとして捉えようとしてきた。
任天堂の事例分析では、半導体技術を保有しないことがどのように製品開発に影響を与えるのかを詳細に分析した。そのなかで、消費者層の変容や競合企業の変化といった外部環境の変化が、新しいコンセプトを設定するプロセスに大きく関わっていることがわかってきた。特に、ソニーやマイクロソフトが産業に参入し大きく変化した競合企業は、任天堂の環境認識とそれに伴う製品コンセプトの再構築を推し進める契機を与えた。そのなかで、技術保有の観点では条件的に近似するマイクロソフトと任天堂のコンセプトの変化パターンが大きく異なり、そのため計画を変更し、両社の詳細な比較分析を行うことにした。
したがって、年2回行う予定であった海外学会での研究発表を1回(カナダ・トロント)のみとした。
また、オーストラリアのメルボルン大学にて在外研究を行い、ディスカッションなどを通じて、国内とは異なる視点からのサジェスチョンを受けながら、研究を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

交付申請書に記した「研究の目的」に照らし合わせて、研究期間3年目としての本年度の達成度は、8割ほどであると考える。本研究は3年間をかけて行う計画を立てているが、新しい研究課題が見つかり、事例研究としてより精緻にするためには不可欠であると考えたので、研究期間を1年間延長することとした。
研究開始時に設定した研究目的からは拡大するかたちとなるが、技術保有の状況がほぼ同一でありながら、研究開発の過程が異なり、その結果として、開発される製品の特性が大きく異なることは、興味深い現象で、研究を継続することで、新たな知見が得られると考えた。
以上から、これまでの研究実施の進捗具合としては、8割程度と評価する。

今後の研究の推進方策

「補助事業期間を延長する理由」に記した通りに、平成26年度の研究を推進していく予定である。
平成23年度の研究において、研究目的である既存製品とは異なる製品コンセプトの創出メカニズムを明らかにした。そして、平成24年度は、平成23年度の研究を理論的に位置づけるための先行研究の検討を行った。また、各産業でドミナントデザイン形成以降にユニークな製品コンセプトを継続的に設定できる場合、どのように製品コンセプトを変動させていくのか、そのパターンと、そのパターンが生まれるロジックを解明してきた。
平成25年度では、企業内部のみの要因で、新しい製品コンセプトを創出する製品開発が行われるのではなく、企業外部の環境要因の変化も大きな役割を担っていることを明らかにした。そのなかで、技術保有の観点では条件的に近似するマイクロソフトと任天堂のコンセプトの変化パターンが大きく異なり、その原因を解明する必要性が生まれた。
そこで、平成26年度は、比較事例分析の割合を増やして研究活動を行っていきたい。これまでの研究目的を拡大・補強するかたちで研究を行い、製品コンセプトの変動プロセスを精緻に分析していきたい。

次年度の研究費の使用計画

複数事例研究を行い、企業に焦点を当てた製品コンセプトの変動メカニズムを解明すべく研究を行っている。
25年度は、ゲーム機産業の事例研究に基づき、任天堂を中心に製品コンセプトの変化プロセスを分析を行い、海外学術学会で研究発表を行う予定であったが、競合企業との比較で技術保有の観点では条件的に近似するマイクロソフトと任天堂の製品コンセプトの変化パターンが大きく異なることが確認できたため計画を変更し、両社の詳細な比較分析を引き続き行うことにしたため、未使用額が生じた。
25年度に海外学術学会で研究発表を行う予定であったが、研究計画の変更により、26年度に研究発表を行うことにした。したがって、未使用額は、海外学会への投稿論文の英文校正費と、海外学会への参加費と渡航費に充てることにしたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A study on changing of the product concept2013

    • 著者名/発表者名
      Kiyohiro Yamazaki
    • 雑誌名

      The preceedings of International Conference on Economics, and Management of Business, Innovation and Technology

      巻: 78 ページ: 2139-2143

    • 査読あり
  • [学会発表] A Logic of the Firms without the Fundamental Technology: Case studies of Sony, Casio and Nintendo2014

    • 著者名/発表者名
      Kiyohiro Yamazaki
    • 学会等名
      Melbourne Institute IPRIA workshop
    • 発表場所
      Melbourne Institute
    • 年月日
      20140417-20140417
  • [学会発表] A study on changing of the product concept2013

    • 著者名/発表者名
      Kiyohiro Yamazaki
    • 学会等名
      International Conference on Economics, and Management of Business, Innovation and Technology
    • 発表場所
      The King Edward Hotel, Toronto, Canada
    • 年月日
      20130620-20130621

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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