本研究は、先行研究において解明されてこなかった製品コンセプトの変動メカニズムに関する論理を構築することを目的として行われた。 カシオ計算機と任天堂の事例に準拠し、基盤技術の非保有に着目して、企業の製品開発プロセスを分析した。そして、基盤技術の非保有に着目し、基盤技術を保有しないからこそ、新しい差別化要因を探索する必要性が生まれ、過去の製品開発を参照しながら、アイディアをもとに新たな製品コンセプトを形成し、組織的危機感という心理的エネルギーが製品コンセプトの実現を後押しするプロセスとして、製品コンセプト転換が起こる動態的なメカニズムを一つの推論として示した。
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