研究概要 |
当該年度の研究成果(投稿中含む)は次の通りである。 ①佐伯靖雄[2013],「サプライ・チェーンのリスクマネジメントと企業間の協調的行動の限界:東日本大震災後のルネサスエレクトロニクス復旧プロセスを事例に」『産業学会研究年報』第18号掲載予定(2013年6月刊行) ②佐伯靖雄・朴泰勲[2012],「ドイツ自動車産業における完成車工場と日系サプライヤーの組織間協業」『経営経済』大阪経済大学中小企業・経営研究所,第48号, pp.33-50. 研究目的である,次世代燃料車(ハイブリッド車[以下HV]・電気自動車[以下EV])の普及がもたらす自動車産業への影響に着目し,とりわけ日本企業の垂直統合型の企業間取引関係(サプライヤー・システム)がいかに変容し初めているのか,そして競争力は維持されるのかという課題に対し,国内外の産業構造分析を進めた。明らかになってきたことは,自動車の電動化・電子化によって基幹部品の調達構造には変化が見られるようになってきたということである。具体的には,制御部品に実装される半導体の調達先がグローバル寡占化によって限定的になってきており,それゆえ東日本大震災のような未曾有の災害時に世界規模で調達機能が麻痺するという傾向が明確になった。また海外に目を向けると,こういった特定の部品に拘わらず,ティア1サプライヤーを集約したティア0.5サプライヤーとでも呼ぶべきシステム部品サプライヤーが調達上大きな役割を果たしていることが明らかになった。
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