研究課題
車載組込みシステムの技術的発展過程を調査するとともに、欧州の産官学連携R&I(Research and Innovation)政策の実態について調査・研究を行ってきた。前者については、CPS(サイバー・フィジカル・システム)という概念を用いて、車載組込みシステムが「社会に組み込まれた制御システムの一部として機能する」ようになる発展過程を、欧米の先端研究のサーベイを通じて明らかにした。また、欧州(独国:acatec)のCPSは米国CPSよりも幅広い範囲、すなわち米国のCPSが「閉じられたリアルタイムネットワーク制御」を意味するのに対し、欧州のそれは「閉じられたリアルタイムネットワーク制御」がインターネットを介して「サイバー空間」と連結した、より幅広い範囲(適用アプリケーション)を意味することが分かった。後者については、欧州委員会と欧州技術プラットフォーム(European Technology Platform)と呼ばれる産業組合との官民パートナーシップ(Public-Private Partnership)による共同R&I(Research & Innovation)について、具体的にERTRAC(欧州道路輸送調査諮問委員会)を調査対象に取り上げた。そして、①ERTRACの法的根拠となっているETPの成立背景を理解した上で、②10年にわたるERTRACの活動を一次資料を基に精査し、③ERTRACの産官学連携R&Iの特徴を明らかにした。すなわち、ERTRACとは「欧州委員会のシステムズ・アプローチに則って、欧州の道路輸送システムの付加価値を高めるために、システムにかかわるステイクホルダーを結集して、産官学地共同でR&Iを推進していくためのプラットフォーム」である。
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Ritsumeikan Business Review, 51(5):91-103.
巻: 51 ページ: 91-103