最終年度もこれまでの統計資料(経済産業省、日本貿易振興機構(JETRO)、東洋経済新報社など)の収集を継続しながら、最終年度までに実施してきた日本国内、海外諸国における日本の多国籍企業の事業拠点の現地実態調査の総括を行い、日本からアジア地域への海外直接投資(FDI)、立地の傾向、企業立地や成長の論理についての検討を行った。 その結果、特に次のような研究成果を得ることができた。 1.ASEAN(東南アジア諸国連合)に属する従来は周辺国と呼ばれた新興国での日本の多国籍企業の立地:中国やASEANの中心国(タイなど)での労働コストをはじめとする生産コストの上昇を受けたコスト削減型の周辺国への立地移転、中国や中心国との間での製品間分業や市場獲得などの多様な立地パターン 2.生産連鎖やバリューチェーンの視点からみた日本の多国籍企業の中国や東南アジア地域内での立地の特徴とその変化:日本の繊維・アパレル産業にとってのアジア地域や中国の重要性、中国での調達・販売構造の変化、ASEAN中心国と周辺国における進出業種の違い(製造業と非製造業)、日本の多国籍企業のバリューチェーンの形成過程やその中身と販売・仕向先との関係 そして、これらの研究成果については、研究会報告や報告書、論文、共同執筆した書籍等の形にまとめて発表を行い、日本の多国籍企業のアジア地域における立地プロセスと企業成長に関する研究を総括している。
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