本研究は、組織行動に着目して、内部統制を効果的にする要因の定量的な分析を行うことを目的とした。研究期間内では、「組織行動の観点による内部統制研究のためのアンケート設計」「実証アプローチに基づくデータの蓄積」「ヒアリングによる内部統制実務の現状把握」を文献及び報告の形で行うとした。初年度は文献調査、アンケート設計・予備調査、企業に対するヒアリングの3点を重点的に行った。最終年度は、これらに基づいてアンケート調査を行った。文献調査・ヒアングも引き続き行った。 最終年度では調剤薬局の局長を対象として、組織コミットメントと不正に対する許容度を尋ねるアンケートを実施した。前年度までの予備調査によって特定された不要な項目を排除するなど、精緻化をした上で実施した。350部を配布して、348部を回収した。これにより、調査結果の単純集計と、不正の許容度に関する先行要因についての分析を行うことができた。この結果から、情緒的コミットメントが相対的に大きな影響を持っていることを見いだせた。これらは、単純集計報告書としてまとめることができた。詳細な分析も、これに引き続き行う。 最終年度でも継続的に、文献調査とヒアリングを行った。文献調査については、実証研究から多くの知見を得ることができた。学会報告を通じて、理論モデルの構築のために必要な知見も多く集めることができた。特に、オペレーションズ・リサーチ研究から、意思決定プロセスの分析に関して多くの知見を得ることができた。ヒアリングについては、調剤薬局を対象として、薬剤師が多いということによる組織文化の側面に着目することで、定性的なデータを多く収集することができた。
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