本研究の目的は、ソーシャルメディアマーケティングの理論的・実践的可能性について、実践研究の知見から考察することにある。ソーシャルメディアはマーケティング活動において必須のツールとなっており、その効果について多くの研究が進められている。しかし一方で、そのマーケティング理論そのものに対するインパクトについては、ほとんど議論されていない。本研究では、近年社会科学領域全般で注目される実践研究の知見を用いることで、ソーシャルメディアを捉えなおすことを試みる。もちろん、この試みは翻って、ソーシャルメディアの実践的可能性も示唆することになる。 研究初年度となった本年は、これまでの断片的な研究成果をとりまとめ、探索的な事例分析を進めることができた。研究展開として、実践研究の位置づけを再確認し、ソーシャルメディア上において実践概念のもとでの考察が可能かどうかを確認した。また、探索的な事例分析では、実践概念に限らず、今日の現象として重要であると考えられるmixiやtwitter、さらにはfacebookといったソーシャルメディアの利用動向に焦点を当て、ユーザーがどのようにこれらソーシャルメディアを利用しているのか、同時に、企業側もまた、マーケティング活動にどのようにこれらソーシャルメディアを組み込んでいるのかを確認した。 大きな発見としては、かつてはユーザーが自律的に構築していたコミュニティ機能の多くが、企業のマーケティング活動のうちに組み込まれ始めていることが明らかになった。
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