本研究は、小売店舗のブランドイメージ形成がいかなる要因によって引き起こされ、同時に、それが消費者の購買意思決定過程にどのような影響を与えるかについて、特に消費者の認知構造における連想ネットワークという視点から、理論的、かつ実証的に検討を加えることを目的としている。 上記の目的を受け、最終年度は、主に以下の3つの研究活動を行った。第1に、平成24年度に新たに発見された「消費者の目的志向性」と「感情」という概念も取り込んだ上で、これまで抽出されたRBIの形成要因に関する仮説の洗練に努めた。具体的には、追加的に行われた文献レビュー、および補完的に収集された定性データの精査を踏まえ、仮説に修正を加えた。 第2に、国内外の商業集積における実際の消費者の行動について、追加的な観察調査、および経験調査を行った。国内外における百貨店や量販店などを対象として行われた調査の結果、消費者が店舗イメージを形成する際、購買意思決定プロセスにおいて生起した感情によって、結果として抱く店舗へのイメージが異なってくる可能性が示唆された。同時に、店頭におけるモバイル機器などを通じたインターネット情報の参照および利用が重要な役割を担っていることもわかった。 第3に、仮説検証を行うためのサーベイ調査を行った。これまでの研究活動から発見されたキー概念を盛り込んだ上で、一般消費者を対象とした質問票を作成し、オンライン・サーベイを行った。特定商品の購買行動について、彼らの購買意思決定プロセスに関するさまざまな行動、また、その時に生起した感情に関する変数を中心に定量データを収集した。仮説の検証に加えて、新たな研究課題の抽出に関する作業を進めた。
|